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イノベーション会議が具体策をとりまとめ(3月31日)
シュレーダー首相は、自身が主催するイノベーション会議を開催し、同首相が進める「イノベーション・オフェンシブ」政策の具体施策をとりまとめた。
特に、起業支援のために2010年までに総額5億4千万ユーロを投資するとした点が注目される。
公表された具体施策は以下のとおり。
○2004年4月中に、イノベーション・オフェンシブに係るイニシアティブを推進するための事務所をベルリンに設置。新技術開発や特許制度改革、新産業育成等を支援。
○研究開発投資を国全体で対GDP比3%まで引き上げるために、補助金全体を見直す。
○起業支援のために以下に取り組む。
・連邦経済労働省の「ハイテク企業基金」を通じ2010年までに2億4千ユーロを融資。民間投資とともに官民一体となった投資を目指す。
・連邦経済労働省の基金を通じた起業支援により融資されたプログラムに投資しようとする民間投資家に対し融資を行い、その投資活動を促進。2010年までに2億5千ユーロを融資。
・連邦教育研究省の大学向け起業支援プログラム「EXIST-SEED」の対象地域を全ドイツに拡大。2010年までに5千万ユーロを助成。
○青少年への教育を中心にドイツに「イノベーション・カルチャー」を醸成するための取り組みを実施。
○連邦政府と州政府が一致して取り組むエリート大学育成を支持。
高等教育大綱法の違憲訴訟公聴会(3月31日)
チューリンゲン州、ザクセン州及びバイエルン州により提訴されていた、ジュニア・プロフェッサーの導入、ハビリタチオンの廃止を内容とする高等教育大綱法改正法案に対する
違憲訴訟の公聴会が開催された。原告側は、本改正法案がジュニアプロフェッサー導入の詳細まで規定するなど、大綱法の範囲を逸脱している等の意見を述べた。
一方、ブルマーン連邦教育相は、ジュニアプロフェッサーはドイツの国際競争力に大いに貢献している等、法改正の効用を述べ、この改正は国家的要請の基づくものである旨述べた。
研究炉使用済燃料の輸送認可される(3月30日)
3月18日のニュースでお伝えしたローゼンドルフ研究センターの研究炉の使用済み燃料をアーハウス使用済燃料中間貯蔵施設に輸送するための
許認可手続きの中断に関し、放射線防護庁は、申請されていた輸送に安全上の問題はなく、同輸送を認可する旨発表した。
現時点での法規定に基づけば同認可は妥当といえるが、ノルトライン=ヴェストファーレン州は今回の決定に反発しており、今後、研究炉の使用済燃料の処理について
議論が起こることが予想される。
エリート大学助成に関する連邦・州委員会決議(3月29日)
教育計画・研究振興に関する連邦・州委員会(BLK)は、トップ大学養成に関する助成プログラムについて、連邦と州が共同で実施していくこととその助成内容の骨子について合意した。
トップ大学養成プログラムについては、ブルマーン大臣の提案(1月26日のニュースご参照)と各州文化・教育大臣会議(3月4日のニュースご参照)の提案がなされていたところであるが、
大学単位でトップ大学の養成を目指すブルマーン大臣の案に対し、各州大臣会議は分野毎に助成を施していく案を主張しており、今次BLK会合は、トップ大学養成に関し連邦と州の間の調整を図る場となっていた。
今回議決された決議によれば、具体的な助成手法は夏までに決めるとされたものの、その内容は、各大学のそれぞれの学問分野に対し助成を実施していく、公的研究機関との連携を強化し、研究クラスターの形成を促すものとする、
大学施設の充実により若手研究者への支援を強化していくものとすることとなっている。
シュレーダー首相、イノベーション改革のための財源確保に関し提案(3月25日)
シュレーダー首相は、連邦議会における政府演説の中で、持家取得の際に支払われる給付金を廃止し、このために用いていた予算を教育や研究開発に向けるべきとの提案を行った。
同首相は、同給付金廃止により連邦と州は2010年までに約40億ユーロを節約でき、市町村は約7億ユーロの負担を軽減できるとし、連邦はその節約分を研究開発に、州は教育に、市町村は育児制度の改良に投資することを期待すると述べた。
また、同首相は、ドイツ連邦銀行ヴェルテケ総裁の連銀保有金の売却益を研究と教育のために使うという提案にも賛意を表した。
ブルマーン大臣、国直轄研究機関の評価実施の意向(3月24日)
フランクフルター・アルゲマイネ紙が伝えるところによれば、ブルマーン連邦教育研究相は国直轄の研究機関の全面的な評価の実施を独科学会議(Wissenschaftrat)に委託する見込み。
マックスプランク協会傘下の研究機関等、政府から独立した立場にある公的研究機関とは別に、連邦政府は約50の直轄の研究機関を有しており、年間約13億ユーロの予算が投じられている。
国直轄の研究機関のアクティビティについては、一部機関において問題がある旨既に独科学会議の場で問題定義がなされており、このようなことも背景にあると考えられる。
なお、国直轄の研究機関に対する全体的な評価はこれまで実施されたことがなく、仮に実施されるとすれば初めてのこと。
洪水のリスク軽減研究のための助成プログラム(3月21日)
ブルマーン連邦教育研究大臣は、洪水のリスクマネージメント研究のための新たな助成プログラムを開始すると発表した。来年度予算として1000万ユーロを措置する予定。ドイツにおいては、このところ毎年洪水による大きな被害が出ており、
特に一昨年夏の洪水の被害は甚大で、エルベ川の堤防の整備のみで2015年までに5億ユーロのコストがかかると見込まれている。
研究炉使用済燃料の輸送許認可手続き一時中断(3月18日)
連邦環境・自然保護・原子力安全省は、ザクセン州ローゼンドルフ研究センターの既に閉鎖された研究炉の使用済み燃料を、ノルトライン=ヴェストファーレン州のアーハウス使用済燃料中間貯蔵施設に輸送するための
許認可手続きを一週間中断すると発表した。輸送認可申請は、トラックによる輸送を前提として提出されていたが、安全性と警備に係るコストの観点から鉄道輸送に変更できないかとの「ノ」州
からの要請に応え、これを検討するために現在申請されている手続きの審査を中断することとしたもの。「ノ」州はまた、出来ることなら輸送は行わす、ローゼンドルフ研究センター内に使用済み燃料を貯蔵するための中間貯蔵施設を
設けるべきとも主張している。脱原子力政策においては、商業炉についてはその施設内あるいは近傍に使用済燃料を貯蔵するための中間貯蔵施設の設置を義務づけているが、研究炉についてはこのような取り決めはなく、各研究炉の使用済燃料は基本的にアーハウス等の
中間貯蔵施設に輸送されるものと考えられている状況。
欧州大学交流プログラムERASMUSU MUNDUS開始(3月16日)
ブルマーン連邦教育研究大臣とベルヘムDAAD会長は、欧州各国の大学が共同で行う交流プログラムERASMUSU MUNDUSの開始を表明した。本プログラムは、
大学間交流協定等による共同教育プログラム(ICPs:Inter-University Co-operation Programmes)を積み重ねることによって、
「ヨーロッパ大学間ネットワーク」(European University Network)を構築し、EU加盟国間の学生流動を高めようするERASMUS(エラスムス)計画
(The European Community Action Scheme for the Mobility of University Students : ERASMUS)計画の一環として行われるもの。3ヵ国以上の3以上の大学が共同で
設定した修士課程コース約100を提供する他、欧州以外の国の学生及び研究者に対する助成(それぞれ約5000人、約1100人を対象)等を行う。2008年までに2億3千万ユーロが措置される。
旧東独大学対象のCOEプログラム助成決定(3月12日)
マチエ連邦教育研究政務次官は、旧東独を対象とした大学中心のCOE育成プログラムの選考結果を発表した。6つの提案が採択され、それぞれに対し2009年までに4〜10百万ユーロが助成される。
助成対象プログラムは以下のとおり。ドレスデンのOncoRay(がん研究)、ライプチヒのICCAS(ロボット・コンピュータ技術の外科への応用)、グライスヴァルトの機能性ゲノム研究、ロストックのCelisca(高圧スクリーニング、高出力解析システム開発)、イエナのultra optics、イルメナウのMacroNano。
グリッド技術を用いた研究ネットワークの構築計画始動(3月10日)
ブルマーン連邦教育研究大臣は、ベルリンで行われたGrobal Grid Forumにおいて、グリッド・コンピューティング技術を用いたネットワークを構築しドイツの研究グループを繋ぐという構想実現に向けイニシアティブを取っていく旨述べた。
今後、ヘルムホルツ協会、フラウンホーファー協会、マックスプランク協会等主要研究協会と大学が共同で研究を進めていく。
連邦教育研究省の新ナノテクノロジー・イニシアティブ(3月9日)
ブルマーン連邦教育研究大臣は、ナノテクノロジー分野の新たな戦略プランを公表した。電子技術への応用を目指したNanoFab、新たな光源の開発等光学面で研究開発を行うNanolux、自動車産業における安全面、環境面への応用を行うNanoMobil、製薬等への応用を行うNanoForLifeといった柱に今後4年間で
約2億ユーロを投じる。また、中小企業におけるナノテクノロジー分野の研究開発を促進するためのNanoChanceも開始することとしている。
企業研究活動の国際化が進展(3月8日)
ドイツ経済研究所とニーダーザクセン経済研究所がそれぞれ行った調査で、ドイツにおける企業の研究活動の国際化が進展している状況が明らかとなった。
これら調査結果によれば、ドイツにおける企業研究活動予算の4分の1が外国企業からのものであり、この額は1997年に比べ30%増となっている。また、研究開発分野における外国企業による雇用者数も1997年に比し50%増となった。
一方、2001年の外国企業のドイツにおける研究開発投資額は、11.5億ユーロ、ドイツ企業の海外での研究開発投資額は11.9億ユーロであった。
女性起業家支援センター開設(3月5日)
連邦教育研究省、連邦家族・高齢者・女性・青少年省、連邦経済労働省は、共同で女性起業家支援のためのセンターを開設することを表明した。2007年まで、約3百万ユーロが運営のために措置される。
職を持つ男性のうち12%が自己の会社を設立しているのに対し、女性の起業家割合はこの半分にとどまっていること等を背景に設立されるもので、今後、女性を対象に起業のための相談に乗ったり、情報流通のための各種イベントの開催等を行う予定。
「エリート・キャンパス・ドイッチュラント」各州文化・教育大臣会議が大学育成制度を提案(3月4日)
各州文化・教育大臣会議(KMK)は、4日の総会で、新たな大学活性化施策を決議した。これは、先にブルマーン教育研究大臣が発表したエリート大学構想(1月26日のニュースをご覧ください)
の対案とも言えるもので、今後の動向が注目される。KMKの新たな提案は、特定の科学分野ごとに各大学の競争を促し、トップ大学を育成していこうというもの。また、分野毎に、トップ大学を中心とした他大学、公的研究機関との
ネットワークを形成することを視野においている。提案では、大学単位の競争でトップ大学を作るということはしないと述べられており、ブルマーン大臣の構想との違いを鮮明にしている。
なお、ドイツにおいては、これまで大学間に差が出ないようにする政策がとられていたが(実体的には差が出ていましたが)、今回のKMKの決議は、競争を通じて大学間に差をつけることを初めて公にしたものとも言える。
連邦政府、引き続き特許化支援方策を推進(3月3日)
連邦教育研究省は、昨年の加工業分野における研究開発関連特許申請数が70%以上増加したこと、投資額当たりの特許取得数が1990年から1999年の間に60%近く増加したこと等を挙げ、2001年より実施してきた特許化支援プログラム
を引き続き弟2フェーズとして行っていくことを表明した。2006年まで、約2800万ユーロが助成される。
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