健康に関する研究プログラムのためのロードマップの発表(9月26日)
○概要
連邦教育・研究省は、健康に関する研究プログラムのためのロードマップを発表した。
健康に関する研究にとって特に重要なテーマが選定されたが、そのテーマは以下の点を満たすものである。
・追加的な資源の狙いを定めた投入があれば、医学研究の上において大幅な進歩が期待できること
・主要な医療分野において、診断、治療、予防、リハビリテーションの進歩につながること
・新製品の開発の刺激となるものであり、これにより、経済的な成長が期待できること
この研究プログラムは臨床研究及び特に大きな国民病を非常に重視している。また、基礎研究と臨床研究には、大きな溝があり、基礎研究から得られた知識の臨床研究における応用が遅々として進まない。健康に関する効果的な研究政策にとっての特別に重要な課題は、基礎研究の成果を如何に臨床研究における応用に生かしていくことができるかである。
○研究分野の例示
大学や大学以外の研究機関や産業界の医療関係者から挙げられた主要な6つの病気に関する研究分野は以下のとおり。
・筋肉と骨格に関する病気
・栄養、代謝疾患及び内分泌の病気
・心臓、肺、腎臓病
・感染症、慢性的な炎症及び皮膚炎症
・がん
・神経、精神や感覚に関する病気
○計画の実行
連邦教育・研究省は、ロードマップにおける74の提案を検査し、それらの補助を行う。74の課題を個別に進めるのではなく、関係するものをまとめたり、優先度の高いものから取りかかる。
これらの健康に関する研究に対して連邦教育・研究省は、2007年から2010年の間に総額6億3千万ユーロを投入することとしている。(毎年1億6千万ユーロ)
認知症患者に対する研究の強化(9月21日)
連邦保健省及び連邦教育・研究省は、認知症患者に対する看護と研究の強化について発表した。そのうち、連邦教育・研究省は、認知症の国立研究センターを設立する予定であることを発表した。
新しいセンターは、アルツハイマー病のような年齢による神経退化の病気への様々な研究分野を擁することとなり、認知症に関する病気の原因、予防の可能性の研究、早期発見、効果的な治療法の開発、社会心理学の研究が行われる。
優秀な神経科学の研究を行っているドイツの大学やその他の研究機関はその国立センターのサテライト機関となる。国立センターとそのサテライト機関の予算は、併せて年間5000万から6000万ユーロとなる。
幹細胞研究の強化(9月10日)
連邦教育・研究省は、多分化能を有する幹細胞の製造の研究の推進ための新たなイニシアチィブを発表した。その内容は、最初のフェーズに500万ユーロを3年間投入し、その後さらに申請の機会を予定するというものである。
ドイツにおける幹細胞研究の強みは応用研究と同様に成体幹細胞における基礎研究にもある。胚の保護のための規制の中の範囲で、幹細胞の研究と再生医薬の優位性を推進していく。なお、これは、胚性幹細胞(ES細胞)以外のものから多分化能がある幹細胞を作る方法の研究に重点を置くものである。
新たな開発として、以下のような様々な実験が行われる
(1)天然に発生する多分化能のあるヒトの細胞を取り出し、その可能性を記述する。
(2)ヒトの成体細胞の可能性を拡げる。
(3)特に細胞の結合や、核の移動のような再プログラミングによって多分化能を持った幹細胞の別の製法を開発する。
新しい南極観測施設と極地観測航空機の建設について(9月3日)
連邦教育・研究省は、新しい南極観測施設Neumayer III および極地観測航空機Polar5に3400万ユーロを投入する。
Neumayer IIIの建設は、南極の観測と研究に長期間取り組んでいくことを保証するものであり、南極における科学と業務の国際的な協力の一部として行われ、2007年から2009年までの国際極年におおいに貢献することとなる。連邦教育・研究省は、この建設に2600万ユーロを投入する。(南極における建設開始は本年12月の予定)
この3世代目の研究ステーションは、将来イクストロム棚氷(Ekstrom-Schelfeis)に建設され、その革新的な構造により、雪の中に沈まないようになっており、25年から30年使用できる。このステーションにおいて、気候、地球物理、空気中の化学、超低周波音及び水中の音波の観測が可能となる。
Polar5は、極域の調査研究用に構想された航空機である。連邦教育・研究省は、このために、810万ユーロを投入する。この航空機は、アルフレッド・ウェグナー研究所の調査研究に必要な長期間使用できる特性と科学的設備を備えている。Polar5の航続距離は2900kmで、搭載されている科学計測機器により、氷の厚さや、地形、大気中の構成物を測定できる。また、Polar5は、観測基地への人員、物資の輸送にも使用できる。(Polar5の運用開始は、本年10月の予定)
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