○ クリックすれば後継科学者のための情報が得られるサイトが開設
(10月28日)
研究奨学金の応募はどこでするのか、適当な後継助成はどこで得られるのか、こうした質問に答えてくれるのがKISSWIN(後継科学者情報通信システム)。ティーレンBMBF次官によれば、「ドイツは後継科学者に魅力的な条件を提示している。若い研究者のチャンスを更に向上させるため、我々はキャリヤーパス、助成の可能性等に関する情報を新しいポータル・サイトを通じて提供していく」という。BMBFは「ドイツにおける科学的なキャリヤーへの志望。可能性、助成策、ネットワークの展望」と題する会議においてKISSWINをスタートさせた。このサイトでは科学的なキャリヤーパス、助成の可能性に関する情報と並び専門家による相談も可能となっている。
BMBFはこのプロジェクトを開始段階の2010年10月までに合計1400万ユーロを投入する。KISSWINの運営は学習・科学マネジメントセンター及びアーヘン工科大学機械工学情報マネジメント講座によって行われる。
○ アレキサンダー・フォン・フンボルト教授職制度による教授が決定(10月15日)
連邦教育研究省
(BMBF) は、このほど創設された「アレキサンダー・フォン・フンボルト教授職」の初選抜が行われ、男性8名と女性1名の研究者が選定されたと伝えている。
同職位は、アレキサンダー・フォン・フンボルト財団が各専門分野で世界トップレベルの外国人科学者に授与する制度で、賞金額は最高500万ユーロ。受賞者はドイツの大学で5年間未来志向の研究を行うことができる。今回の受賞者は、ドイツの大学に赴任し、2009年から活動を開始することになる。授賞式は2009年5月にベルリンで行われる。
同財団の会長は「今日の先端研究はチームワークが主体ではあるが、しかし個々の優れた研究者の個性、アイディア、創造性、エネルギーによって大きな相違が生じることが少なくない。我々はこの教授職制度により優れた研究者を外国からドイツへ招聘し、彼らを中心とした強力なチームと永続的な組織体制を形成していく」と述べた。
受賞者の現職及びドイツの赴任先
・Oliver Brock(38歳)/University of Massachusetts(米国)
ベルリン工科大学に赴任。専門は次世代自律型ロボットの人工知能。
同大学ではその本来の研究重点を整備強化するほかに、他の科学機関及び産業界とのパートナーシップにより、新しいインパクトを与える。
・Piet Wibertus Brouwer(36), Cornell University/USA.
ベルリン自由大学理論物理研究所に赴任,専門は個体理論、量子移送。彼の指揮のもと同大学に理論物理研究所、Dahlem Center for
Complex Quantum Systems創設される。
・Georgi Dvali(44歳)、New York University/USA及びCERN/ジュネーブ.
ドイツでは当面マックス・プランク物理研究所、その後ミュンヘン大学に赴任。素粒子研究の国際的なトップ研究者。彼の支援のもと同大学をプリンストン、ハーバード、スタンフォード各大学と肩を並べる宇宙素粒子研究の世界的な拠点とする。
・Ulrike Gaul (47歳)、Rockfeller University/USA.
ミュンヘン大学に赴任。彼女はシステムバイオロジーの世界的な、最もイノバティヴな専門家の一人。これは個々の遺伝子、タンパク質を分離して考えるのではなく、体内でのその作用の総合的関連性を研究するもので、ドイツではこれまで研究分野としてまだ確立されていない。
等、その他5名。
○ ユーリッヒ研究センターが「BioPharma-Initiative」において成果
(10月10日)
ユーリッヒ研究センターがBMBFによって今後3年間にわたり2000万ユーロの資金で助成されるコンソーシアム「ニューロ・アライアンス」の一員に選ばれた。
コンソーシアムの目標は神経疾患の処置に関する治療、診断の「シーズ」を研究段階から市場段階へと発展させることにある。研究機関のほかに製薬産業及びバイオテクノロジー企業も参画している。
BMBFによるBioPharmaコンペティションは、「世界の薬局」としてのドイツを構造的に強化し、発展させようとするもの。ユーリッヒ研究センターは脳及び認知症の研究に強く、このためパートナー機関と共に選ばれることになった。「ニューロ・アライアンス」プロジェクトにおいて、ユーリッヒ研究センターはボン大学と協力しており、認知症に対する治療及び診断のシーズを研究する。
ユーリッヒの二つの研究グループがアルツハイマー及びその他神経疾患の画像による革新的な放射線診断を開発すべく、これて取り組んでいる。研究者は科学的成果を臨床的な応用に迅速に繋げるため産業界と密接に協力している。
今回の公募には37件の申請があり、第一次選考で10件が、最終選考で3件が残り、そのうちの一つが「ニューロ・アライアンス」であった。
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