○旧東ドイツ地域において最先端研究を行う6つのパイロットプロジェクトを選定。(5月5日)
5日、独連邦教育研究省は、「新連邦州における最先端研究とイノベーション」プログラムとして6つのパイロットプロジェクトの選定についてプレス発表を行った。詳しくは、連邦教育研究省のHP(http://www.bmbf.de/press/2288.php)を参照されたい。
連邦と新連邦州は共同で東部ドイツの最先端研究を強化する。連邦教育研究省は4,500万ユーロで新しい6つのパイロットプロジェクトをスタートする。
新連邦州における最先端研究とイノベーションの新しいプログラムで連邦教育研究省は、新連邦州とともに、東部ドイツのイノベーション支援の一里塚を築く。5日に、この夏にスタートする6つの最先端研究のためのプロジェクトを発表した。これらのプロジェクトでは、総額で4,500万ユーロが2年半の間に支援される。目標は能力を、広域、テーマオリエンテッドかつ組織横断的に結集することで、新連邦州におけるイノベーション能力とそれによる経済力を強化することである。
これらのパイロットプロジェクトは、その地域の技術力が明確に現れ、学問、研究所、州や都市の境界をまたいで協力が始まっているところで実施される。競争力のある優れた最先端研究は産業を惹きつけ、イノベーションを強化する。
「新連邦州における最先端研究とイノベーション」プログラムは、2006年11月に連邦教育研究省と新連邦州の科学大臣間の覚書「イノベーションと成長のための7つの重要分野」により始まった「東部ドイツのイノベーション対話」の続編である。これらのパイロットプロジェクトは、新しい支援プログラムの幕開けである。また、今年中に2億ユーロ規模の2回目の公募が始められる。
6つのパイロットプロジェクト名は、以下のとおり。
・Campus PlasmaMed プラズマ医療(グライフスヴァルド)
・Kompetenzdreieck Optische Mikrosysteme
光学ミクロシステム(イエナ、イルメナウ、エアフルト)
・VIERforES 仮想と拡大の現実(マグデブルグ、カイザースラウテルン)
・Berlin
Institute for Medical Systems Biology
薬学システムバイオロジー(ベルリン)
・Institutional
Water Research Alliance 水研究(ドレスデン)
・GeoEN 地球のエネルギー(ポツダム、コトブス)
○「研究とイノベーション2008」の発表(5月21日)
21日、連邦教育研究省は、報告書「研究とイノベーション2008」を発表した。なお、詳しくは、連邦教育研究省のHP(http://www.bmbf.de/press/2302.php)を参照願いたい。
連邦政府は、研究開発にこれまでにない規模の投資を行う。本年は、おそらく、112億ユーロが投資されるであろう。連邦の支出は、2005年(90億ユーロ)より4分の1増加する。これらのことは、シャヴァーン連邦研究大臣が水曜の閣議において公表した「研究とイノベーション2008」に記されている。
シャヴァーン大臣は、「ドイツにおける研究とイノベーションは拡大傾向にある。研究開発への投資によってのみ我々は、ドイツにおける競争力、成長と豊かさを維持できる。我々は、将来において多大な努力を必要とし、ドイツにおける成長力をさらに強化しなければならない。研究とイノベーションは、連邦政府の高いプライオリティーである。2009年においては、さらに投資を増やし、3%の目標(ドイツ全体の研究開発投資を2010年までにGDPの3%とすること)を確実にする。」と述べた。
「研究とイノベーションの連邦政府の報告書」は、ドイツの研究とイノベーションにおける連邦、州及びEUの促進策について包括的な情報を提供する。また、この報告書は、2008年2月にメルケル首相とシャヴァーン大臣に提出された研究とイノベーションの専門家委員会による評価書に対するコメントを載せている。すなわち、評価書は、ハイテク戦略によって、産業界の研究開発投資が動員されたことを確認したということである。停滞の時期の後、国内の産業界の研究開発経費は2005年から2007年にかけて42億ユーロ増加して428億ユーロとなった。2008年には、さらなる増加が予想される。
今後、科学の分野においては、専門家不足が懸念されるが、エクセレンスイニシアティブを通して、ドイツの高等教育界には、活力と個々の特徴が出てきている。研究とイノベーションの協定により、大学外の研究組織において、計画の確実性と自由な行動の余地が生まれている。大学、マックスプランク財団、フラウンホーファー財団及びドイツ研究協会を併せた研究支援のための資金は、2005年と比較して42.3%増加して26億ユーロとなる。
研究支援は、イノベーションが人々の利益になる分野に投じられる。健康の分野においては、2008年における連邦の支援資金は、約6億2千万ユーロになる。これは、2005年より15%増加している。また、環境と資源保護のために、2008年においてエネルギー分野における研究支援の資金は、5億3千8百万ユーロとなり、これは、2005年より22%増加している。
中小企業における職場の増加のための必要条件も改善している。中小企業のための研究とイノベーションの支援は、2005年から2007年にかけて20%増加し、約7億5千万ユーロと拡大した。来るべき年には、毎年10%ずつ増加する。
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フラウンホーファー協会の予算が11%の増加(5月28日)
2007年度フラウンホーファー協会はその予算を11%上昇させ、132億ユーロに引き上げた。この傾向は続いており、成長の一つの要因として、傘下研究機関の内外両面におけるネットワーク化に挙げられる。役員のゴスナー博士によると、これは記録的な水準であり、フラウンホーファーは新設、拡張、装備等に前年度1億1700万ユーロを投資した。防衛研究では3900万ユーロを投入、契約研究の領域での費用は1億3200万ユーロの増加で11億1600万ユーロとなった。
この良好な結果は多くの原因による。2007年度の経済界のブーム的な現象で、企業が再び研究開発へ多くの資金を投入した、国外におけるドイツの技術開発に対する需要の増加があった等が挙げられる。このことは契約研究領域の数字が如実にしめしている。収益は7億7600万ユーロとなり、産業界とのプロジェクトの割合は4億2200万ユーロと、前年度の水準を若干超え、全収益の38%を占めている。またフラウンホーファーとって幸いなことは連邦、州、EUによるプロジェクト助成の進展であり、2007年では3億5400万ユーロであった。
ブリンガー フラウンホーファー会長によると、「この成果はそれなりの努力があって生まれたもので、ネットワーク化の強化、拡大の結果である。フラウンホーファー協会傘下の研究所は融合的な協力を行っており、契約研究を専門とする研究所をここ数年の間にテーマ的に6つにグループ化し、合同で新しいビジネスフィールドを確認し、研究開発プログラムを主導している。同時にフラウンホーファーのすべての研究所が国内、国外のコンペテンス・センターと密接に結びついている。この柔軟かつ迅速なネットワーク化は今日競争の面で大きな利点となっている。これは民間との協力においても同様である。「強力による成果―アイディアの迅速な製品化」をモットーにドイツ全土に14のイノベーション・クラスターが設立され、更に多くが計画中である。これは大学、研究機関、企業の交流と地域的な協力を強化しようとするものである」。
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