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皆様
新年あけましておめでとうございます。
日本の古い暦では今年の干支は「巳(へび)」ですが,蛇は脱皮することから「復活と再生」を意味すると言われているようです。東日本大震災発生から1年と10ヶ月あまりが経った今も復興に向け課題は山積しておりますが,復興・再生へ向けた歩みが弛まぬ努力がなされることが期待されます。
さて,昨年12月26日に我が国では安倍内閣が発足し,ドイツでも本年9月に連邦議会選挙が予定されるなど,両国の政治状況は変化の中にありますが,この機会にドイツを含め海外において関心が高い政策について簡単に現状についてご紹介したいと思います。
1.震災復興とエネルギー政策
まず第一に安倍内閣は東日本大震災からの復興を加速することを重視しています。とりわけ福島の再生に向けてあらゆる政策を総動員し,創造と可能性の地として新しい東北をつくりあげます。ドイツにおいては,福島の再生との関連で,特に我が国の原発・エネルギー政策の方向性に強い関心が向けられています。この点,安倍内閣のエネルギー政策について説明しますと,与党自民党と公明党の連立合意の中でも,原発の再稼働については「国際基準に沿って安全第一主義を徹底した原子力規制委員会の専門的知見の判断による」としており,また,安倍総理自身も年頭記者会見の中で,「科学的安全基準のもとで再稼働を判断」としています。また,省エネルギーや再生可能エネルギーの活用についても,与党連立政権合意の中で、「再生可能エネルギーの加速的な導入」等により「可能な限り原発依存度を減らす」としています。また,安倍総理自身,「3年程度で既存原発の行く末を見極めながら,10年かけて新しい安定したエネルギーミックスに移行させていく」との方針を示しています。
2.日本経済の再生
安倍内閣が最も重視している政策課題が強い経済の再生です。大胆な金融政策,機動的な財政政策,民間投資を喚起する成長戦略を通じて,日本経済の再生に取り組むことを目指し,また1月11日に緊急経済対策を決定しました。無駄な公共事業を拡大し,財政規律を無視しているとの批判が一部にはあります。しかし,安倍総理は,今般の経済対策は,国民の生活を守る事業,成長や地域活性化を促す事業に対象を重点化し,無駄にならないよう費用と効果の比較を見えるようにしていくことを明確にしています。また,財政規律の重要性を認識し,プライマリーバランスの黒字化を目指すことも強調するとともに,来年度予算編成や税制改正作業を早急に進めて,日本経済の再生と中長期的に持続可能な財政措置の双方を実現していく道筋を検討していくという方針を明確にしていることを指摘したいと思います。
3.外交・安全保障
外交・安全保障面では,日米同盟の強化を図り,両国の関係を再構築するとともに,中国・韓国・ロシア等近隣諸国との信頼の増進を図ることを連立合意で明確にしています。一部には,「日本は右傾化している」とか「安倍総理は戦後50周年に発表された村山談話や、慰安婦に関する河野談話を否定する立場である」と指摘し,「近隣諸国との関係悪化」を懸念する声も聞かれます。安倍総理は,日米同盟を重視し,日本が国際社会の中で安全保障面においてさらなる貢献を行うことに積極的であります。同時に,安倍総理は中国、韓国、東南アジア諸国をはじめとする近隣諸国との協力関係も重視しています。安倍総理は6年前に総理に就任した際に最初の外遊先として中国を訪問し,日中関係の改善に努力しました。そして,日中「戦略的互恵関係」の構築を提唱し,中国側と合意したのは他ならぬ安倍総理です。また,歴史認識については,先般岸田外務大臣がオーストラリア訪問された際の記者会見で述べたとおり,安倍総理は村山談話及び小泉談話を引き継ぐことを明確にしています。慰安婦問題についても,安倍総理は筆舌に尽くし難い辛い思いをされた方々のことを思い,非常に心を痛めておられます。この点の思いは,歴代の総理と変わりません。現在,日中関係は難しい状況にありますが,日中関係は我が国にとり最も重要な二国間関係の一つです。また,韓国,東南アジア諸国をはじめとする近隣諸国は,日本にとりかけがえのないパートナーです。安倍総理は,これらの国々との関係を極めて重視し,その関係強化に一層努力し,地域の平和と繁栄に貢献していく考えであることを指摘したいと思います。
4.ドイツ及び欧州への関心
安倍総理は,欧州との政治・経済両面における関係強化には高い関心を持っております。前回総理であった際には,ブラッセルを訪問し,日本とNATOとの協力関係の強化への道筋をつけました。また,今回の連立合意の中でも,FTA・EPAをはじめ自由貿易をこれまで以上に推進すると明示しており,前政権下で交渉開始の環境が整った日EU・EPAについても,積極的に取り組むことは間違いありません。今年前半には,日EU定期首脳会議も開催されることが見込まれており,この機会に,日EU関係強化に弾みをつけることが期待されます。高いレベルでの日EU・EPAの実現には,これからの正式交渉が一層重要となります。EUの中でも強大な経済力,影響力を有するドイツとの関係強化も安倍内閣にとり重要な課題です。
本年が皆様にとり素晴らしい一年になりますことを心よりお祈り致します
平成25年1月24日
在ドイツ連邦共和国特命全権大使
中根 猛
