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ドレスデン・ボランティア活動報告
「100年に一度」とも言われる独東部での洪水災害にあたり、ドイツに住む一人の日本人として、東日本大震災の際、ドイツの市民から示された数え切れないほどの支援に少しでも報いたいと考え、6月12日、休暇を取得してベルリンからドレスデンへの日帰りでのボランティア活動に参加しました。
- 洪水の規模と当日の状況
ドレスデン市においては6月3日から4日にかけてエルベ川の水位がピークに達し、河川沿いの地域が浸水、2600名の住民が一時避難を余儀なくされました。10日の週に入って状況は改善し、好天にも恵まれたため市内のほぼ全域の水は引き、浸水した家屋の清掃活動が進んでいる状況でした。また、市内交通機関はほぼ完全に機能しており、観光客も数多く見られましたが、河岸の一部には未だに水が残っていました。
- 活動内容
ドレスデン市ボランティア調整センター(Koordinierungsstelle für Hilfsangebote)の斡旋により、ドレスデン在住の市民が所有するエルベ川沿いの庭付きの小屋において、水に浸かってしまった家具などの搬出、建物内の清掃、ごみの運搬等の作業を行いました。他にも3名のボランティアの若者がともに作業に従事しており、11時半頃から午後4時頃まで活動を行いました。
- 所感
(1)テレビなどでボランティア活動として近日報道されているのは、氾濫の危険性の高い地域における堤防用の砂袋の運搬作業などが主ですが、既に洪水が収まったとみられているドレスデン市において、むしろ洪水後の家屋の清掃などの作業の膨大な需要が存在していることを実感しました。
(2)ドレスデン市のボランティア調整センターは電話とEメールという従来型の手法により、ボランティアの需要と供給の調整を行っていましたが、非常にうまく機能している印象を受けました。他のボランティアの若者によれば、テレビで言われているようにFacebookやTwitterなどによる情報共有手段も存在したそうですが、被災地の写真や大きなニュースなどは数多く共有されているものの、個々の質問や書き込みに対して必ずしも反応がない、現地までの具体的な交通手段などについての情報がほとんどないなどの問題もあり、最終的には調整センターの斡旋によって今回の活動に参加したとのことでした。
(3)ボランティア参加者の若者はいずれもドレスデン市周辺在住でしたが、活動に向けての意識は高く、時間が許す限り継続的にボランティア活動に参加しているとのことでした。2002年に経験した洪水の記憶が強く残っており、当時独の各地から様々な支援を受けたことからも自発的に何らかの貢献をしたいと思い至ったとのことでした。
(4)今回の活動を通じ、ドイツの市民の連帯に感銘を受けるとともに、より長期的、継続的な支援の重要性を感じました。また今後とも何らかの形で被災地の支援に貢献したいと考えています。