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連邦教育研究省2005年度予算案は3.6%増(6月23日)
連邦教育研究省は、同省の2005年度予算案を公表した。総額で84億6400万ユーロ、対前年度比3.6%
の増となっている。予算には、エリート大学育成方策予算の連邦政府負担分75%が計上されている他、
マックスプランク協会等公的研究機関に対する予算が全体で3%の増となっている。また、全日制学校導入
のために10億ユーロ、旧東独地域の職業教育機会提供プログラムに93百万ユーロが計上されている。
ブルマーン大臣は、予算案公表に際し、教育と研究に対し連邦政府が引き続き高いプライオリティを
置いている旨強調した。
連邦教育研究省、新たな地球観測システム"RapidEye"計画に助成(6月21日)
1億5千万ユーロを投じて農作物の収穫予想等を行うための新たな地球観測システムを構築する
計画"RapidEye"を遂行する、ブランデンブルク州の株式会社ラピッド・アイに対し、連邦教育研究省は
14.7百万ユーロを助成する旨発表した。助成は、ドイツ航空宇宙センター(DLR)を通じて行われる。
同計画では、2007年までに5つの観測衛星を打ち上げ、システムの運用を開始する予定。
遺伝子技術法改正法案連邦議会通過(6月18日)
ドイツ研究協会等が、研究の妨げになるとして異議を唱えていた(6月9日付ニュースご参照)遺伝子技術法改正法案
が連邦議会で可決された。一部国会議員は、本改正法案により、ドイツの植物科学者が海外に移住してしまう、
基礎研究の大きな妨げになるなどと批判した。
大学の学生選抜裁量権を増大(6月16日)
連邦議会教育・研究委員会は、大学入学に関する新たな制度の導入について合意した。ドイツにおいては、
大学入学にはギムナジウムの修了証であるアビトゥアが必要で、これがあれば、学生は原則的に希望する大学・
課程に入学できるが、今回の合意は、学生の大学入学時における大学側の選抜裁量権を増大させようとするもの。
合意によれば、大学は、学生の20%をアビトゥア取得者から、20%を入学待機者から、残りの60%を自らの裁量
で選抜することとしている。選抜方式は、アビトゥアの成績、専門分野の能力テスト、面談等、各大学独自に決定する。
カーテンフーゼン連邦教育研究省事務次官は、今回の合意はドイツの高等教育改革を促進するものと、歓迎の意を表した。
ドイツ教育報告、連邦と州の新たなイニシアティブ(6月16日)
各州文化・教育大臣会議(KMK)と連邦教育研究省は記者会見を行い、共同でドイツの教育全体を俯瞰した
ドイツ研究報告を策定することとし、そのために、専門家12名から構成される審議会を開催することとした旨
発表した。この報告書を、今後の教育システムの改革に役立てていきたい意向。最初の報告書は、2006年に
とりまとめられる予定。
e-Science-Initiative開始(6月15日)
連邦教育研究省は、新しいネットワーク技術開発のためのプロジェクトVIOLA(Vertically Integrated Optical Testbed for Large Applications)
を開始する旨発表した。予算額は1000万ユーロ。本計画は、今年3月にブルマーン大臣が表明した、グリッド・コンピューティング技術を用いた
ネットワークを構築するというイニシアティブ(e-Science-Initiative)を具現化するもの。
ドイツ研究協会、遺伝子技術法改正案に異議(6月9日)
ドイツ研究協会(DFG)は、議会に提出されている遺伝子技術法改正案に関し、異議を唱える声明を出した。
本改正法案は、遺伝子組換作物の取り扱いに係るEU指令を反映させること等のために検討されているもの
であるが、DFGは、本法案は植物科学分野の研究遂行に大きな障害となるとしている。DFGの指摘するポイントは、
以下のとおり。
○法案は、遺伝子組換植物が多大な危険性を有するとの前提に立っている。このため、リスク評価手法が
不適当なものとなっており、その手続きも無用に煩雑かつ官僚主義的なものとなっている。
○前項の理由により、特に基礎研究の成果を産業界に移転する際に大きな困難が生じる。
○遺伝子組換植物が在来種に混入した際の損害賠償責務を課することとされているが、そもそも植物科学
において交配は基本的な手法であり、当該損害賠償責務が研究にとって大きな妨げとなる。
○法案により組織されることとなっている「生物安全中央委員会」は全く無用のものであり、手続き、規制を増やすだけのものである。
ドイツの大学も学費徴収か(6月9日)
9日、全国大学長会議のゲートゲンス議長は、記者会見で大学における将来の学費徴収に関し言及した。
この発言は、8日に行われた全国大学長会議総会における議論の結果に基づきなされたもので、その概要
は以下のとおり。
全国大学長会議は、以下の条件の下に学費の徴収が行われるべきと考える。
1.学費徴収に併せて州政府が大学経費を削減しないこと。
2.大学は、この収入を教育の質向上のために責任を持って投入すること。
3.各大学が、各自の裁量で学費の徴収額を決定できること。
4.社会的弱者が不利益を被らないようにすること。
全国大学長会議としては、学費導入の最初のフェーズにおいては、1セメスターにつき最大500ユーロの範囲内での
徴収を推奨する。また、この学費は、第3者資金としての性格を有するものとし、基本的に、教育の質を維持・向上
させるために用いられるべき。
ところで、学費はドイツ語でStudiengebuehrというのですが、全国大学長会議及びゲートゲンス議長は、今回の決定
及びプレス発表においてStuduenbeitraegeという言葉を使っています。料金を意味するGebuehrではなく貢献や寄付
を意味するBeitragを用いているところに、ドイツ人の心情が出ていますね。
研究炉FRM-U稼働(6月9日)
ミュンヘン郊外ガルヒンクに建設されていた研究炉FRM-Uが、バイエルン州シュトイバー首相立ち会いのもと
運転を開始した。同研究炉は、兵器に転用可能なウランを燃料とするため、その運転に関し米国等から懸念
が表明されるなどの経緯があり、紆余曲折を経ての稼働開始となった。同研究炉においては、国際的にも
最先端の研究が行われることが期待されており、700人から1000人程度の研究者が世界から集まってくると
考えられている。シュトイバー首相は、この稼働について、「ドイツの科学技術にとって1つのマイルストーン
である」と述べた。当初は、5メガワットの出力で運転され、この秋には、20メガワットの出力でフル稼働と
なる予定。
エリート大学構想、連邦と州で意見一致?(6月8日)
7日、各州の教育・科学大臣と協議を終えたブルマーン連邦教育研究大臣は、エリート大学育成構想に関し、意見の一致を見たと述べた。
同大臣によれば、合意されたエリート大学育成策の概要は以下のとおり。
・2006年より5年間、毎年380百万ユーロを助成。総助成規模19億ユーロ
・380百万ユーロのうち、250百万ユーロが競争的公募により選ばれた最大10の大学への助成。130百万ユーロが大学を中心とする研究クラスター形成のための助成
・資金は、75%は連邦政府、25%は州政府が負担
しかしながら、バーデン=ヴュルテンベルク州のフランケンベルク科学大臣やバイエルン州のゴッペル科学大臣(前者はCDU、後者はCSU)は、ブルマーン大臣の言うような合意には至っていないと、
ブルマーン大臣を非難している。
本件は、7月5日に開催される教育計画・研究振興に関する連邦・州委員会(BLK)の場において最終的な決定がなされる予定ですが、まだ紆余曲折がありそうです。
CDU/CSU、脱原発政策を批判(6月7日)
最近の原油価格高騰を背景に、CDU/CSUの主要議員が相次いで現政権が進める脱原子力発電政策から離脱すべき旨発言している。
また、Welt紙によれば、シュトイバー州首相(CSU)が率いるバイエルン州では、場合によっては新規原発の建設をも検討すべきとするエネルギー政策
が検討されているとのこと。もともと、CDU/CSUは、現政権が進める脱原発政策には反対していたが、今回は、新規原発建設にまで話が及ぶなど、
より一歩突っ込んだ意見となっている。これら意見に対し、世論からは特段強い反発は出ておらず、仮に2006年の選挙で政権が交代すれば、脱原発政策
が見直されるのは必至と考えられる。
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