○メトロポール・ルール大学アライアンスがエリート大学であるフィラデルフィア大学と協力(ノルトライン・ヴェストファーレン州イノベーション学術研究技術省発表:6月30日)
ペンシルヴァニア州においてメトロポール・ルール大学アライアンスがフィラデルフィア大学との協力を締結。ボーフム、ドルトムント、ドュイスブルク・エッセンの3大学はこれに伴いアメリカのエリート大学と工学、ナノテク、ロボット工学、材料科学の領域で協力することになる。
協力の重点は共同研究開発プロジェクト。3大学の工学科と並びボーフム大学の材料研究センター、ICAMSがフィラデルフィア大学の工学科のパートナーとなる。欧州全体の中でも独特な研究所であるICAMSは3週間前に開設されたもので、ノルトライン・ヴェストファーレン州とテュッセン・クルップに率いられる産業コンソーシアムが折半で資金を負担したもの。
またドュイスブルク・エッセン大学では特にナノインテグレーション研究センターがアメリカ科学者のパートナーとなる。
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○ガウス・アライアンス設立: ドイツの計算センターが力を結集
(6月18日)
18日にドレスデンにおける国際スーパーコンピューター会議に際しガウス・アライアンス設立に関する取り決めが調印された。これによりドイツの12のスーパーコンピューター・センター(Gaus Centre for
Supercomputing, インフォメーションサービス・高性能計算センター、マックスプランク・ガルヒング計算センター等)が世界に類例のないコンピューター連合体を設立することになった。
科学、研究、技術、社会における様々な問題設定により総合的なシステムのためのより包括的且つ正確なモデル形成、そしてまた問題解決のより優れた方法が必要となっている。こうした中で、高性能コンピューター、スーパーコンピューターへのアクセス、利用は多くの研究分野、科学的活動にとって欠くべからざるものとなっている。またスーパーコンピューターによるシミュレーションは経済界、産業界にとって戦略的な重要性を有している。こうした意味から12のコンピューターセンターが一体となり、BMBFのスタディー「ドイツにおけるHigh Performance Computing(HPC) - 戦略的なアライアンス設立に向けて」の中の提案を実体化し、「ガウス・アライアンス」という名称のドイツのHPCアライアンスを設立することにより、これまでの長年にわたる協力に組織的な基盤を確立することになる。
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○新しいフレキシブルな気象センサーMETimage(6月16日)
DLRと連邦交通建設都市開発省(BMVBS)は6月16日気象観測ミッションMETimageに関する取り決めに調印した。BMVBSが独自のプロジェクト活動に関してDLRに予算を与えるのは初めてのことである。METimageとは2018年以降利用されることになっている気象衛星装備であり、高度のフレキシブルなセンサーとして欧州における気象観測を決定的に向上させるもの。BMVBSはこの装備の継続開発に関し2008年から2010年までに500万ユーロを投入する。METimageは気象分野で利用するための最新のラジオメーターであり、遅くとも2018年から現在の衛星システムEUMESAT Polar Systemの後継システムとして利用される予定。地表、大気、雲から反射される、あるいは拡散される太陽光を可視領域から熱赤外線領域までの多くのチャンネルで記録することができる。こうして雲及び地表の反射度、大気中の浮遊物質(エアロゾル)の量等多くの気象データを調べることができる。
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○人間が中心−ドイツ航空宇宙センターがミュンヘンでの見本市AUTOMTICAにおいて新しい外科手術システムを公開(6月6日)
2008年6月10日から13日ミュンヘンで開かれた表記見本市においてDLRは多数の研究成果を出展した。DLRのロボット・メカトロニクス研究所はロボット支援型低侵襲手術システムMIROSURGE、移動可能な両手の作業を行うロボットJUSTIN、5本指のロボット・ハンド等を公開した。
宇宙技術を医療に応用することは同研究所が設定していた目標の一つ。地上から宇宙のロボットを正確かつリアルタイムで操作するいわゆる「テレプレゼンス」を将来外科分野で利用しようというもの。低侵襲「キー・ホール」手術のために開発されたMIROSURGEの利用のためには患者の体に三つの小さな穴を開けるだけ。システムの中核となるコンポーネントは医学用に開発された軽量構造ロボットMIROであり、これは特殊な器具により多種にわたる外科手術目的に対応できるようになっている。ロボットアームの利用目的としては例えばレーザーユニットのガイド、骨組織の精密な分離、骨の開孔、また低侵襲(内視鏡)手術のための複数ロボット・コンセプト等が挙げられる。
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○マグネットで体内のカメラを操作(フラウンホーファ研究協会発表)
フランホーファー生物医学技術研究所(IBMT)の研究者はメーカー、病院、イギリスの大学等と協力し、初めての「カメラ・ピル」の操作システムを開発した。これまでのカメラは食道及び胃の検査にはあまり適していなかった。移動の速度が速すぎて、画像が十分に得られなかった。IBMTの研究グループ長フォルケ博士は「これからは医師がカメラを食道でストップさせ、上下に移動させ、回転させる等カメラのアングルを自由に設定することができる。食道と胃の接続部分も正確に検査できることになる。カメラの操作は板チョコくらいの大きさで、これを医師は検査の間手に持ち、患者の体を上下移動するだけでよく、カメラは正確にその動きに従う」と語った。
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