○ 研究、イノベーション、技術能力に関する第三回報告を提出について(2月24日)
連邦政府によって設けられた研究イノベーション専門委員会(EFI)は2月24日、ベルリンにおいてメルケル首相及びシャヴァーン大臣に対し研究、イノベーション、技術能力に関する第三回報告を提出。シャヴァーン大臣は「専門家は我々のイノベーション・成長路線を認め、連邦政府の諸計画における教育と研究の高い重要性を強調している」と語った。
イノベーション研究者は以下を指摘した:
・連邦政府が研究開発費を増大させたことを賞賛
・ドイツは過去数年これによってアメリカ及びEU諸国と比べても際立っている
・ハイテク戦略により研究・イノベーション政策はより効率的となった
シャヴァーン大臣は、経済界の研究開発動向はこれまでのところ経済財政危機に直面してもなお躍動的であることを指摘。企業はその年間研究開発投資を2005年から2008年にかけて毎年74億ユーロ引き上げている。これは19%のプラスになる。
大臣は委員会の、ハイテク戦略の焦点をより強く気候/エネルギー、保健、モビリティー、コミュニケーション、安全性の将来的な分野に当てるように、との要請を歓迎している。これはまさに連邦政府がハイテク戦略の今後の進展において目指すところであり、大臣によれば「我々はドイツの科学界、経済界が重要な貢献を果たせるようなテーマに集中していくことになり、これによって我々はドイツ経済の競争力をも増大していくものであります」。
○ ニューヨークにおけるドイツ科学イノベーションの家の開所について(2月19日)
2月19日金曜日シャヴァーン大臣はニューヨークにおいて「ドイツ科学イノベーション館」(DWIH)の開館式を行った。「これはドイツ研究界の多様性とエクセレンスを紹介するものであり、独米協力プロジェクトを軌道に乗せるための中心的なスタート台である」と語った。
DWIHはドイツの研究界のあらゆる側面を紹介するものであり、大臣は「戦略的協力の実行において鍵となる役割を果たすことになる。昨日調印された科学技術協力に関する政府間協定により我々は独米研究協力の新たなフェーズを開始する所存である。DWIHの活動は協力の実行を支援するものである」と語った。
DWIHはBMBFと外務省の共同イニシアティヴによるもので、ニューヨーク、サンパウロ、ニューデーリ、モスクワ及び東京の5拠点においてドイツ研究開発全体の姿をより明確に紹介し、ドイツ研究、同関連機関、大学、イノベーション的な企業の諸活動を結束させることに貢献させようとするもの。これは、連邦政府が2008年に決定した国際化戦略並びに外交政策の実現における重要な要素の一つである。
○ 独米科学技術協力協定の締結について(2月18日)
ドイツとアメリカは新しい基本協定に基づき両国間の研究協力を大幅に拡大する意向。当面重点はエネルギー、気候、環境、保健の領域における研究開発活動に置かれる。シャヴァーン大臣はワシントンにおいて「この協定によりState Department とBMBFによって調整される共同の委員会を設け、協力の基本条件を改善し、協定の実現を評価するためのプライオリティーを検討することになる」と語った。
新しい協定について大臣は「今回の調印は、我々が大西洋を超えた協力のポテンシャルをこれまでより強く利用していくことを示している。独米の研究者は現在と将来の重要な問題に共同で貢献することができる。その対象は気候変動、食糧、農業、食糧生産、エネルギー供給確保、貧困及び感染症との戦い更には安全性、移民等になる」と語った。大臣はまたアメリカとの協力において人文科学及び倫理的問題の議論も重要なものであることを指摘した。
協定に基づき、イノベーション的な、共同の規格及び標準を目途とする解決を見出すプロジェクトも取り上げられることになる。これは関連の企業の競争に関するポジション、更にはマーケットへのアクセスチャンスをアメリカにおいて強化するため経済界の参加もなされなければならない。エネルギー、気候研究及び保健(希少疾病及び再生医療)に関してはバイラテラルのワーキング・グループが作業を開始しており、両国の科学者はこの領域における協力テーマを検討する。
○ チップデザイナーコンテスト「Invent a Chip」について(2月10日)
ドイツの生徒たちは今、後継人材コンテスト「Invent a
Chip」により、自分の思うようなコンピュータチップを開発することができる。BMBFとVDEが成功を収めてきたこのコンテストの新ラウンドをスタートさせた。
コンテストには2月以降第8学年以上で、関心のある生徒であれば参加することができる。シャヴァーン大臣は新ラウンドの開始を宣言するに際し、「我々は少年少女を早い内に興味ある技術と取り組ませ、その創造性を自由に発揮させるようモティヴェートする。我々は未来を指向する現代の技術、マイクロエレクトロニクス及びナノテクノロジーのため優れた頭脳とイノベーティブなアイディアを探しもとめているのです。過去このコンテストには、我が国は大いなる熱意をもってこれに参加し、一人あるいはチームで驚くようなプロジェクトを実現した多くの若い人材がいることを示しております」と語った。
3000以上の学校に2月中旬以降資料及び質問書を送付する。今年の質問書の重点はエネルギー効率。関心のある者は質問書に答え、独自のアイディアを応募する。昨年度実績は参加者1600名、プロジェクト・アイディアは250以上であった。
今年も12チームが5月に行われる3日間のワークショップでハノバー大学のエキスパートたちとチップをデザインすることができる。秋には審査委員会がベスト・デザインを選び、ライプチッヒにおけるVDE会議「E-Mobility:
Technolgies-Infrastructure-Markets」で発表される。
尚、今年初めてハノバーにおいてこれに付随する形で教師向けワークショップが開催される。また通常の公募資料の他にマイクロチップに関する教材も用意される。このコンテストには各種の魅力的な賞金もあり、また勝者には奨学金の資格、企業、大学へのコンタクト等のアプローチが可能となる。
○ 看護研究および保健経済研究の強化(2月9日)
高齢者の増加、慢性疾患の増加、社会保険料負担者の減少は保健制度に多様な問題を投げかけている。このためBMBFは看護研究及び保健経済研究に今後数年間に5400万ユーロを投入する。シャヴァン大臣によれば「これはこれまでドイツの看護研究に用意された額としては最高額である。」
看護研究及び保健経済はまだ新しい専門分野ではあるが、個人の看護の改善及び保健制度の社会的な受容の形成にとっては特に重要である。看護研究は、日常における患者及び健康の看護を評価し、その上に看護コンセプトを開発し、実践で検証するもので、リハビリテーション学、介護研究、一般医学的看護、待機的医学等の様々な分野を包括する。
保健経済的な研究は保健制度のコスト分析、保健制度の組織、財政に関する新しいアイディアの開発に寄与するもの。この総合的な研究分野でしっかりとした科学的な結果を得るためには医学者、経済学者、社会学者の密接な、融合的な協力が必要。BMBFはこのため、現存の研究コンペテンスを纏め、後継科学者の養成に繋がる有力な保健経済研究センターの立ち上げを支援する。
○ 「持続的発展のための研究」という新しい基本計画をスタート(2月35日)
コペンハーゲンにおける気候交渉の結果はあまり芳しいものではなく、それだけに連邦政府の気候変動への戦いそして世界的な持続的発展の強化に向けての取り組みは益々重要になった。BMBFはイニシアティヴをとり、「持続的発展のための研究」という新しい基本計画をスタートさせ、20億ユーロを大幅に越える資金を2015年までに用意する。
ベルリンにおける学界、経済界のハイレベルの代表との公開の専門会議において大臣は「我々は我々全てのために役立つ、技術的にしっかりとした解決策を探求するため、世界中の数多くのパートナーと協力していく」と語った。また気候変動、水不足、種の多様性への脅威、資源エネルギー供給等が人類にこれまでにない規模の課題を突き付けており、迅速に適切な戦略と手段を開発しなければならない。」としている。
新しい基本計画は幅広い研究範囲を包括するもので、エネルギー効率の改善、原料生産性が中心となる。こうした活動は気候変動にブレーキをかけることに寄与する。BMBFは地球というシステムを調査するのに有用な研究インフラを構築する。基本計画のもう一つの重点は発展途上国等との研究協力である。大臣は「持続的資源マネジメント及びイノベーション的な環境・エネルギー技術においてもドイツは世界的にトップに並んでおり、この新しい基本計画によって、この位置付けをさらに強化、拡大していく。それ故持続性政策は常にイノベーション政策でもなければならない」と語った。
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