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日独学術交流
ドイツに、アレクサンダー・フォン・フンボルト財団という機関がある。政府出資の財団であり、日本で言えば、日本学術振興会の国際部門にあたり、ドイツへ来る外国人のポスドクにフェローシップを出している(www.avh.de)。ちなみに、アレクサンダー・フォン・フンボルトとは、プロイセンの自然科学者の名であり、その兄のカール・ヴィルヘルム・フォン・フンボルトは言語学者で政治家でもあり、ベルリン・フンボルト大学を開設した。
この財団の関係者から、日本からの申請が近年減っているということを言われたことがある。かつて、日本人研究者はドイツに来る外国人研究者の中で最も多かったが、今では、アジアの中でも中国やインドからの研究者が上回っているとのことである。
日独間の学術交流の状況を見ると、留学生交流、大学間交流協定の締結、研究者の交流など、いずれも増えてきてはいる。が、伸び方はゆっくりであり、互いに交流相手としての相対的な比重は下がっているのかもしれない。私が担当している国費留学生についても、広報の努力はしているが、特に日本の大学院に留学したいというドイツ人学生の数は思うように増えない。
戦後、日独ともに、米国との関係を強めてきたし、両国が互いの大学の水準に対しいまひとつ魅力を感じていないことも原因かもしれない。大学改革は、ドイツでも大きな課題となっており、政府では、大学の自由裁量の拡大、競争原理と評価の導入、国際化の推進、教育研究予算の増額、若手研究者の育成などに取り組んでいる。特に、自然科学、工学の分野での水準向上が重視されている。
ドイツ統一後再編整備された旧東独地域の大学が徐々に発展していること、日独両国の大学改革が進行中であることなどは、今後、日独間の協力拡大を期待できる要因ではないかと思う。
(2002年9月 大使館広報文化班・森田正信)
*この文章は、「文部科学時報2002年9月号」に掲載されたものを転載したものです。
*ドイツから日本の大学へ留学するための日本政府国費留学生プログラムの広報のページを日本大使館ホームページに設けています(独語、www.de.emb-japan.go.jp/austausch/stipendien.html)。
みなさまのお近くに、日本への留学を考えておられる方がいたらご紹介いただければ幸いです。日本での留学や研究滞在に関する情報を提供している「日本留学総合ガイド(外務省)」、「日本国際教育協会(AIEJ)ホームページ」、「Forschen in Japan(JSPSボンセンター)」などのページにもリンクしています。
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