海外安全対策情報(2023年1月から3月)

令和5年4月11日
1 凶悪犯罪・一般犯罪の傾向
 過去5年間のドイツ国内・管轄6州内における犯罪認知件数は、次のとおりです。
 
国・州  /  年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年
ドイツ国内  5,761,984 5,555,520 5,436,401 5,310,621 5,047,860
ベルリン州 520,437 511,677 513,426 504,142 482,127
ブランデンブルク州 175,003 172,828 171,828 162,941 158,964
メクレンブルク・フォアポンメルン州 110,337 108,665 111,329 105,932 104,452
ザクセン州 323,136 278,796 271,796 272,588 246,615
ザクセン・アンハルト州 186,550 175,625 173,346 177,905 170,465
テューリンゲン州 143,237 143,158 129,301 141,933 130,411
          単位:件

  犯罪認知件数全体としては、減少傾向にあるものの、身近な犯罪であるスリ、置き引き、ひったくりなどは引き続き高い水準で発生しており、人口10万人あたりの犯罪発生率は、日本の約10倍となっています。
 また、2021年中は、管轄6州全てにおいて、性犯罪の発生件数が前年を上回りました。
 ※2022年中の犯罪統計については、現在、各州警察から順次発表されているところであり、次回更新時には数値が出揃う見込みです。
 
 日本国内にいるのと同じ感覚で生活をしていると犯罪に巻き込まれる危険性がありますので、下記情報に加え、犯罪被害に遭わないための注意点をまとめた「安全の手引き」を一読し、普段から警戒力を高めて生活してください。
 
(1)凶悪犯罪
 ◯ 管内6州においては、邦人被害に係る殺人・強盗、誘拐事件等は認知しておりません。しかしながら、ドイツ国内では、邦人が被害者となる強盗、傷害、恐喝などの粗暴犯罪のほか、性犯罪も発生しています。
(2)一般犯罪
 ◯ ベルリン市内の観光名所や地下鉄等公共交通機関では、依然としてスリや置き引きなどの盗難事件が多発しています。電車内やホテルのロビー等で自分の傍らに置いていたバッグ等が盗まれる事件が発生していますので、手荷物は体から離さない、常に目の届くところで管理するなど、犯罪被害に遭わないよう十分ご注意ください。
 ◯ また、市内の観光名所で外国人集団から声をかけられ、募金や署名等を 依頼され、親身に応対している間に手荷物から現金等が盗まれる事件も発生しています。外国人集団の中には、路上や屋内において初めは親しく声をかけハグ等をし、そのうち多数で取り囲んで、スキを見て現金を盗む犯行手口もあります。見知らぬ人から話しかけられても冷静かつ毅然とした態度で対処し、常に手荷物をチェックするように心がけてください。
  同様に、市街地において、外国人グループから親しげに握手を求められ、これに応じたところ、左腕に抱きつかれ、そのまま腕時計を盗まれる事件も発生しています。
 ◯ ベルリンやその近郊では夜間の暴力事件が発生しており、深夜の公園において麻薬の取引が行われているケースもありますので、夜間の外出には特に注意を払い、深夜帯の移動はなるべくタクシーを利用するなど安全の確保に細心の注意を払ってください。なお、タクシーの利用にあたっては、「FREE NOW」や「UBER」などの配車アプリを使うと、料金トラブルの回避にも繋がります。
 ◯ 電車内において、偽の係員から声を掛けられた乗客が、有効な切符を持たずに乗車していたとしてその場で現金を要求される事案が発生しています。公共交通機関に乗車する際に有効な切符を所持することは必要ですが、正規の係員が罰金としてその場で現金を要求することはないので、相手の身分をよく確認するようにしてください。
 ◯ 昨年来、ドイツ国内において、ユーロポール職員を名乗る者からの不審電話情報が多数報告されています。これらのケースでは、氏名やIDカードの番号を聞き出そうとするほか、自動音声メッセージによってプッシュボタンで回答を求めるものもあるとのことで、ユーロポールでは、このような「なりすまし電話」に関する注意喚起を行っています。身に覚えのない番号からの電話には注意していただき、詐欺電話の可能性があることを念頭に、冷静な対処をお願いします。
 
2 テロ情勢
 近年、欧州各国でテロ事件が発生しています。ドイツにおいても例外ではなく、イスラム過激主義や、反ユダヤ、外国人排斥等の極右思想に影響を受けたとみられる個人によるテロ事件等の発生、テロを計画した容疑者やイスラム過激派が治安当局に相次いで摘発・逮捕されています。
 2022年12月7日、Reichsbuergerと呼ばれるグループのメンバーが、ドイツ連邦議会を襲撃して国家転覆を謀ったとして、ドイツ国内で一斉に検挙されました。本件はドイツ国内のみならず日本でも大きく報道され、ドイツは依然としてテロの脅威にさらされ、テロの発生に十分な警戒が必要であるということがあらためて認識されました。
 観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関等の人が多く集まる場所や、教会やモスク、シナゴーグ等の宗教関連施設は、テロの標的となりやすいので特に注意が必要です。
 常に最新の情報の入手に努めるとともに、テロの標的となりやすい、多くの人が集まる場所を訪れる際には、安全の確保に十分注意を払ってください。
 
3 大規模デモ・集会
 毎年5月に行われるメーデー関係のデモなど、非常に規模の大きいデモ・集会もありますので、不測の事態や無用なトラブルに巻き込まれないよう注意するとともに、これらデモの際には大規模な交通規制が行われますので、最新情報の入手に努めてください。
 
4 日本企業の安全に係る諸問題
(1)日系企業を狙った振り込め詐欺
 日系企業を狙った振り込め詐欺が散発的に発生しています。本邦にある本社の代表電話、本社ドメインを有する(又は酷似した)メールアドレスから、実在の社長や取締役名でドイツ現地法人に対し、「水面下で進めているプロジェクトに関して、今すぐ弁護士にメール連絡を取ってほしい」「至急指定の口座に資金を振り込んでほしい」「このオペレーションについては厳に秘密に願いたい」といった連絡があり、信用して振り込んだところ、多額の資金をだまし取られたといったケースです。
 金銭の振り込みにかかる電話やメール連絡については、たとえ知人や本社の電話番号やメールアドレスであったとしても安易に信用せず、メールの要求内容や発信元メールアドレス等の不審点を十分に吟味するとともに、単独で判断することなく(かかってきた電話やメールにそのまま返信するのではなく)、必ず別の手段で家族・友人又は社内幹部に確認をとるなど慎重に対応してください。また、不審メールには返信しないようにしてください。
(2)その他振り込め詐欺
 在留邦人が被害者となる様々な手口の詐欺事件(振り込め詐欺)が発生しています。例えば、インターネットを通じて面識のない不動産業者と賃貸借契約を交わし、鍵の受け渡しの条件として前金を振り込んだが、その後音信不通となり、多額の現金を騙し取られたといった詐欺事件が横行しています。名の知れた大手の不動産業者であってもインターネットを利用した安易な商取引には十分注意するとともに、銀行振り込みや商取引の際には,できるだけ一人で対応せずにご家族やご友人に相談し、振込先の安全性を十分に確認する等細心の注意を払ってください。
 
※ 外務省では、「ゴルゴ13の中堅・中小企業向けの海外安全対策マニュアル」を作成し、海外安全ホームページ上に掲載しています。コロナ禍における安全対策も含まれており、令和4年3月より動画編も掲載されていますので、各種安全対策にお役立てください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html
 
※ 3か月以上の滞在は「在留届」、3か月未満の渡航・滞在は「たびレジ」にそれぞれ登録してください。