海外安全対策情報(2022年4月から6月)

令和4年7月11日
1 凶悪犯罪・一般犯罪の傾向
 過去5年間のドイツ国内・管轄6州内における犯罪認知件数は、次のとおりです。

 
国・州  /  年   2017年   2018年   2019年   2020年   2021年
ドイツ国内    5,761,984   5,555,520   5,436,401   5,310,621   5,047,860
ベルリン州    520,437    511,677    513,426    504,142    482,127
ブランデンブルク州    175,003    172,828    171,828    162,941    158,964
メクレンブルク・フォアポンメルン州    110,337    108,665    111,329    105,932    104,452
ザクセン州    323,136    278,796    271,796    272,588    246,615
ザクセン・アンハルト州    186,550    175,625    173,346    177,905    170,465
テューリンゲン州    143,237    143,158    129,301    141,933    130,411
          単位:件
 


 犯罪認知件数全体としては、減少傾向にあるものの、身近な犯罪であるスリ、置き引き、ひったくりなどは引き続き高い水準で発生しており、人口10万人あたりの犯罪発生率は、日本の約10倍となっています。
 また、2021年中は、管轄6州全てにおいて、性犯罪の発生件数が前年を上回りました。
 日本国内にいるのと同じ感覚で生活をしていると犯罪に巻き込まれる危険性がありますので、下記情報に加え、犯罪被害に遭わないための注意点をまとめた「安全の手引き」を一読し、普段から警戒力を高めて生活してください。

(1)凶悪犯罪
 ◯ 6月8日午前10時30分頃、ベルリン市内のカイザーヴィルヘルム記念教会付近において、車両が歩道に突入し、次々と歩行者をはねる事件が発生しました。犯人はその場で逮捕されましたが、この事件により、多くの死傷者が出ています。
 ◯ 一昨年夏以降、ベルリン市街地において、現金輸送車や銀行を狙った銃器等を用いた強盗事件が断続的に発生しています。これらの事件の大半は、平日の通学・通勤時間帯と重なる午前中の時間帯、かつ邦人の皆様が多く居住するエリアにおいて発生しています。常に周囲の状況に注意を払い、異状を察知したらすぐにその場から離れることを徹底し、事件に遭遇した場合は現場に近づかず安全な場所に避難するとともに、速やかに落ち着いて行動するよう心掛けてください。
 ◯ 管内6州においては、邦人被害に係る殺人・強盗、誘拐事件等は認知しておりません。しかしながら、ドイツ国内では、邦人が被害者となる強盗、傷害、恐喝などの粗暴犯罪のほか、性犯罪も発生しています。
(2)一般犯罪
 ◯ ベルリン市内の観光名所や地下鉄等公共交通機関では、依然としてスリや置き引きなどの盗難事件が多発しています。電車内やホテルのロビー等で自分の傍らに置いていたバッグ等が盗まれる事件が発生していますので、手荷物は体から離さない、常に目の届くところで管理するなど、犯罪被害に遭わないよう十分ご注意ください。
 ◯ また、市内の観光名所で外国人集団から声をかけられ、募金や署名等を 依頼され、親身に応対している間に手荷物から現金等が盗まれる事件も発生しています。外国人集団の中には、路上や屋内において初めは親しく声をかけハグ等をし、そのうち多数で取り囲んで、スキを見て現金を盗む犯行手口もあります。見知らぬ人から話しかけられても冷静かつ毅然とした態度で対処し、常に手荷物をチェックするように心がけてください。
  同様に、市街地において、外国人グループから親しげに握手を求められ、これに応じたところ、左腕に抱きつかれ、そのまま腕時計を盗まれる事件も発生しています。
 ◯ ベルリンやその近郊では夜間の暴力事件が発生しており、深夜の公園において麻薬の取引が行われているケースもありますので、夜間の外出には特に注意を払い、深夜帯の移動はなるべくタクシーを利用するなど安全の確保に細心の注意を払ってください。
 ◯ 電車内において、偽の係員から声を掛けられた乗客が、有効な切符を持たずに乗車していたとしてその場で現金を要求される事案が発生しています。公共交通機関に乗車する際に有効な切符を所持することは必要ですが、正規の係員が罰金としてその場で現金を要求することはないので、相手の身分をよく確認するようにしてください。
 ◯ 最近、ドイツ国内において、ユーロポール職員を名乗る者からの不審電話情報が多数報告されています。これらのケースでは、氏名やIDカードの番号を聞き出そうとするほか、自動音声メッセージによってプッシュボタンで回答を求めるものもあるとのことで、ユーロポールでは、このような「なりすまし電話」に関する注意喚起を行っています。身に覚えのない番号からの電話には注意していただき、詐欺電話の可能性があることを念頭に、冷静な対処をお願いします。
 
2 テロ情勢
 一昨年秋以降、フランス、オーストリア、英国など欧州各国でテロ事件が発生しています。近年、ドイツにおいても、イスラム過激主義や、反ユダヤ、外国人排斥等の極右思想に影響を受けたとみられる個人によるテロ事件等の発生、テロを計画した容疑者やイスラム過激派が治安当局に相次いで摘発・逮捕されているほか、外国人を標的とした極右過激テロも発生するなど、ドイツ国内は依然としてテロの脅威にさらされており、今後も引き続きテロの発生が懸念されます。特に、観光施設周辺、イベント会場、レストラン、ホテル、ショッピングモール、公共交通機関等の人が多く集まる場所や、教会やモスク、シナゴーグ等の宗教関連施設を狙ったテロに注意が必要です。
 常に最新の情報の入手に努めるとともに、テロの標的となりやすい、多くの人が集まる場所を訪れる際には、安全の確保に十分注意を払ってください。
 
3 大規模デモ・集会時における各種犯罪被害防止と衛生対策
 一昨年夏以降、ベルリン、ライプツィヒ、ドレスデンなどの大都市において、コロナ規制に反対する大規模なデモ・集会や、これに対するカウンターデモが行われています。これらのデモ・集会では、一部の参加者と警官隊が衝突したり主義主張が異なるグループ同士が衝突するなど、度々暴動事件に発展しています。
 加えて、本年3月以降は、ロシアによるウクライナ侵攻に反対する人々によるデモが頻繁に行われており、最大のものは数十万人が参加するなど、非常に規模の大きいものになっています。
 デモの参加者が密集することにより、対人間隔の確保が困難となっているケースが見られ、衛生上の不安が指摘されています。
 常に最新情報の入手に努めるとともに、不測の事態や無用なトラブルに巻き込まれないよう、十分ご注意ください。
 
4 新型コロナウイルスに関連した犯罪への注意
(1)世界各地で新型コロナウイルスに関連した次のような犯罪が発生していますので、被害に遭わないように十分ご注意ください。
 ◯ 保健所職員を装った犯人が居宅を訪問し、新型コロナウイルス感染症の検査と称して住人の不安を煽り、隙を見て居宅に侵入し、金品を盗む窃盗事件
 ◯ 医者を装った犯人が治療等の名目で電話を架け、犯人グループの一人が居宅を訪問し、嘘の新型コロナウイルス感染症の検査を行い、検査費用と称して現金をだまし取る詐欺事件
 ◯ 偽物の医療器具やマスク等を法外な値段で売りつけ、現金をだまし取る詐欺事件
 ◯ 国境沿いにおいて、偽の警察官が通行人に声をかけ、国境通過料金等と称して現金をだまし取る詐欺事件
 ◯ 地下鉄利用者に対し、偽の警察官が声をかけ、州を跨ぐ移動の許可証を所持していないとして罰金を騙し取る詐欺事件
 そもそも、保健所職員や医師等が新型コロナウイルス感染症検査等のために、突然、居宅を訪問することはありませんし、その場で検査費用等のお金を請求することはありません。また、警察官がみだりに金品を要求することはありませんので、日頃から落ち着いて行動し、不審な人物から声をかけられても相手にせず、その場を立ち去る、または状況に応じ警察に(110番)通報してください。
 また、見知らぬ人が居宅を訪問したら玄関を開けずに用件を十分に確認し、不審に思ったらすぐに警察に通報してください。不審な電話を受けた時も相手が誰かよく確認する等、落ち着いて対応してください。
(2)その他、新型コロナウイルスに乗じたフィッシング詐欺などのサイバー犯罪についてもご注意ください。
○金融庁
https://www.fsa.go.jp/news/r1/ginkou/20200407/20200407.html
○一般財団法人 日本サイバー犯罪対策センター
https://www.jc3.or.jp/topics/newmodel_coronavirus.html
○一般社団法人 全国銀行協会
https://www.zenginkyo.or.jp/topic/covid19-fraud/
○京都府警察
https://www.pref.kyoto.jp/fukei/anzen/seiki_h/cyber/cyber02.html
 
5 日本企業の安全に係る諸問題
(1)日系企業を狙った振り込め詐欺
 日系企業を狙った振り込め詐欺が散発的に発生しています。本邦にある本社の代表電話、本社ドメインを有する(又は酷似した)メールアドレスから、実在の社長や取締役名でドイツ現地法人に対し、「水面下で進めているプロジェクトに関して、今すぐ弁護士にメール連絡を取ってほしい」「至急指定の口座に資金を振り込んでほしい」「このオペレーションについては厳に秘密に願いたい」といった連絡があり、信用して振り込んだところ、多額の資金をだまし取られたといったケースです。
 金銭の振り込みにかかる電話やメール連絡については、たとえ知人や本社の電話番号やメールアドレスであったとしても安易に信用せず、メールの要求内容や発信元メールアドレス等の不審点を十分に吟味するとともに、単独で判断することなく(かかってきた電話やメールにそのまま返信するのではなく)、必ず別の手段で家族・友人又は社内幹部に確認をとるなど慎重に対応してください。また、不審メールには返信しないようにしてください。
(2)その他振り込め詐欺
 在留邦人が被害者となる様々な手口の詐欺事件(振り込め詐欺)が発生しています。例えば、インターネットを通じて面識のない不動産業者と賃貸借契約を交わし、鍵の受け渡しの条件として前金を振り込んだが、その後音信不通となり、多額の現金を騙し取られたといった詐欺事件が横行しています。名の知れた大手の不動産業者であってもインターネットを利用した安易な商取引には十分注意するとともに、銀行振り込みや商取引の際には,できるだけ一人で対応せずにご家族やご友人に相談し、振込先の安全性を十分に確認する等細心の注意を払ってください。
 
※ 外務省では、「ゴルゴ13の中堅・中小企業向けの海外安全対策マニュアル」を作成し、海外安全ホームページ上に掲載しています。コロナ禍における安全対策も含まれており、令和4年3月より新たに動画編も掲載されましたので、各種安全対策にお役立てください。
https://www.anzen.mofa.go.jp/anzen_info/golgo13xgaimusho.html
 
※ 3か月以上の滞在は「在留届」、3か月未満の渡航・滞在は「たびレジ」にそれぞれ登録してください。