ドイツにおける検疫措置(コロナ入国規則にかかる新たな政令)(情報更新)

令和3年5月17日
【ポイント】
 5月12日,ドイツ連邦政府はコロナ入国規則にかかる新たな政令を発表しました。
 この新たな政令は,従来のコロナウイルス入国規則(Coronavirus-Einreiseverordnung),コロナウイルス感染予防条例(Coronavirus-Schutzverordnung),モデル検疫規程(Musterquarantaeneverordnung)を一つにまとめ,ドイツ全土で統一的な登録義務,隔離義務,検査義務等を定めるものであり,5月13日より適用されます。
 
全ての国・地域からの航空便によるドイツ入国者は,引き続き陰性証明書の提示が必要となります(シェンゲン域外の第三国(例えば日本)からシェンゲン域外の他の第三国(例えばアフリカ諸国)への乗り継ぎ(ドイツ入国を伴わないトランジットエリア内での乗り継ぎ)は対象外)。抗原検査の場合は,これまで通りドイツ入国前48時間以内に実施したコロナ検査の陰性証明書,PCR検査の場合はドイツ入国前72時間以内に実施したコロナ検査の陰性証明書も認められることとなりました。
ワクチン接種証明書又は快復証明書の所持者は,入国時に必要な陰性証明書が免除となります(ただし,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国に際しては,引き続き陰性証明書が必要)。
コロナ検査の陰性証明書,ワクチン接種証明書,快復証明書のいずれかを所持している場合,入国後の隔離義務の早期終了が可能となります(ただし,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国に際しては,引き続き14日間の隔離義務が必要)。
 
 この政令の概要は,以下の本文をご確認ください。
 
【本文】
 全ての国・地域からの航空便によるドイツ入国者は,航空便搭乗前に,ドイツ入国前48時間以内に実施した抗原検査,又はドイツ入国前72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書の提示が必要になる(シェンゲン域外の第三国(例えば日本)からシェンゲン域外の他の第三国(例えばアフリカ諸国)への乗り継ぎ(ドイツ入国を伴わないトランジットエリア内での乗り継ぎ)は対象外)。ただし,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国者​は,入国前24時間以内に行った抗原検査又は入国前72時間以内に行ったPCR検査の提示が必要。
 また,「リスク地域」,「特に感染の発生率がより高いリスク地域(Hochinzidenzgebiet)」,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国に際しては,以下に定める検査義務,登録義務,隔離義務を遵守しなければならない。
 さらに,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの人の輸送の禁止(Befoerderungsverbot)は引き続き適用され,またこの地域からの入国にあたっての例外は非常に限定的となる。
 
1 ワクチン接種者及び感染からの快復者に対する陰性証明書の免除
 ワクチン接種証明書及び快復証明書の所持者は,入国時に必要なコロナ検査の陰性証明書が免除となる。
 ただし,これは「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国者には適用されない。
 ○「リスク地域」,「特に感染の発生率がより高いリスク地域(Hochinzidenzgebiet)」,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」(ロベルト・コッホ研究所)
 https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Risikogebiete_neu.html
 
2 登録義務
(1)ドイツ入国前10日以内にリスク地域に滞在歴のある旅行者は,搭乗手続き前にデジタル入国登録(DEAを行う必要がある。登録後,PDF形式で確認書が送付される。
 ○デジタル入国登録フォーム(Digitale Einreiseanmeldung/Digital Registration on Entry)
 https://www.einreiseanmeldung.de/#/
(2)技術的な理由でデジタル入国登録ができない場合は,従来の紙ベースの所在追跡票に記入の上,指定の住所(Deutsche Post E-POST Solutions GmbH, 69990 Mannheim)に送付する。
 ○各国語による所在追跡票(日本語含む)
 https://www.rki.de/DE/Content/Infekt/IGV/Aussteigerkarte_Tab.html
(3)登録義務の例外
 ○リスク地域が通過(Durchreise)のみでドイツに入国する者(空港トランジットエリア内での乗り継ぎ等)。
 ○最も迅速なルートでドイツを通過(Durchreise)する者。
 ○24時間以内の国境往来(Grenzverkehr)。
 ○72時間以内の親族訪問(同一世帯に属していない一親等親族(両親や子供),配偶者,婚姻関係にないパートナー等の訪問目的,または共同親権や面会交流権に基づく面会目的で,「リスク地域」,「特に感染の発生率がより高いリスク地域(Hochinzidenzgebiet)」に72時間以内滞在した後にドイツに入国する者(「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」は登録義務を要する)。
 ○職務の遂行,大学での学業または職業訓練のために,リスク地域内の勤務先,大学または職業訓練先に移動する者であって,少なくとも週に一度は定期的にドイツの居住地に戻る者(Grenzpendler)。
 ○リスク地域に居住している者で,職務の遂行,大学での学業または職業訓練のためにドイツに渡航(入国)し,少なくとも週に一度は定期的に居住地に戻る者(Grenzgaenger)。
(4)登録義務及びその例外に関する詳細は,以下の連邦保健省ウェブサイトを参照。
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/service/gesetze-und-verordnungen/guv-19-lp/coronaeinreisev.html
 
3 隔離義務
(1)ドイツ入国前10日以内にリスク地域に滞在歴がある場合は,到着後遅滞なく自宅または滞在先に向かい,原則としてその後10日間の隔離義務が生じる。ただし,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国にあたっては,隔離期間は14日間となる。
(2)隔離期間中は,自宅等を離れることや訪問者の受け入れは不可。隔離義務違反には反則金が科される。
(3)隔離義務は,快復証明書,ワクチン接種証明書または陰性証明書がデジタル入国登録(DEAを通じて提示された場合,早期に終了することが可能
 「特に感染の発生率がより高いリスク地域(Hochinzidenzgebiet)」に滞在歴のある場合は,入国・帰国後5日目以降に受検したコロナ検査の結果が陰性の場合には,隔離5日目以降(陰性が確定して以降)に隔離を終了することが可能。
 「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国・帰国にあたっては,14日間の隔離義務にかかる例外(早期終了)なし
(4)隔離義務は2021 年 6 月 30 日まで有効
(5)隔離義務の例外
 ○最も迅速なルートでドイツを通過(Durchreise)する者。
 ○運送会社の従業員
 ○24時間以内の国境往来(Grenzverkehr)。
 ○職務の遂行,大学での学業または職業訓練のために,リスク地域内の勤務先,大学または職業訓練先に移動する者であって,少なくとも週に一度は定期的にドイツの居住地に戻る者(Grenzpendler)。
 ○リスク地域に居住している者で,職務の遂行,大学での学業または職業訓練のためにドイツに渡航(入国)し,少なくとも週に一度は定期的に居住地に戻る者(Grenzgaenger)。
(6)隔離義務の詳細については,以下の連邦保健省ウェブサイトを参照。
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus-infos-reisende/faq-tests-einreisende.html
 
4 検査義務
(1)リスク地域に滞在歴があり,空路以外の手段でドイツに入国した者は,ドイツ入国後遅くとも48時間以内に新型コロナウイルスに感染していないことを証明しなければならない。管轄の保健局は,入国後10日間はこの証明を要求することができる。証明は,コロナ検査の陰性証明書又はコロナウイルスに感染していないことを証明する医師の診断書により可能。自宅近くの検査センターは電話116117又は以下のウェブサイトから探すことが可能。
 www.116117.de
 かかりつけ医で検査を行う場合は,事前に電話で予約すること。
(2)空路での入国者又は「特に感染の発生率がより高いリスク地域(Hochinzidenzgebiet)」又は「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの入国者は,搭乗の航空会社に対して陰性証明書,又はワクチン接種証明書,又は新型コロナウイルス感染からの快復証明書を提示しなければならない。また,これらの証明書はドイツ到着時の入国審査にあたっても必要となる。
(3)コロナ検査基準等は以下のロベルト・コッホ研究所ウェブサイトを参照。(当館注:日本で通常行われているPCR法,LAMP法,TMA法のいずれかの検査であれば問題ありません。検査結果は,英語,ドイツ語,フランス語のいずれかの言語で紙ベース又は電子データで提示する必要があります。)

独語:https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Tests.html
英語:https://www.rki.de/DE/Content/InfAZ/N/Neuartiges_Coronavirus/Transport/Archiv_Tests/Test_12052021.pdf?__blob=publicationFile
(4)検査義務の例外
 ○ 6歳未満の子供
 ○(陸・海路の場合)リスク地域が通過(Durchreise)のみでドイツに入国する者。
 ○(陸・海路の場合)最も迅速なルートでドイツを通過(Durchreise)する者。
 ○(陸・海路の場合)24時間以内の国境往来(Grenzverkehr)。
(5)検査義務とその例外にかかる詳細については以下の連邦保健省ウェブサイトを参照。
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus-infos-reisende/faq-tests-einreisende.html
 
5 人の輸送の禁止(Befoerderungsverbot)
(1)上記の登録義務,検査義務,隔離義務に加え,感染を防止し,新たな変異株の蔓延を制限するために,「ウイルスの変異株が蔓延しているリスク地域(Virusvarianten-Gebiet)」からの人の輸送を禁止する。
(2)人の輸送の禁止の例外
 ○ドイツ国籍者,滞在許可を有しドイツに居住している者,並びにそれらの者と同一世帯に属する配偶者,パートナー,未成年の子。
 ○(空港における)ドイツ入国を伴わないトランジットエリアでの乗り継ぎ。
(3)人の輸送の禁止にかかる詳細については以下の連邦保健省ウェブサイトを参照。
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus-infos-reisende/faq-tests-einreisende.html
 
【参考】
○ドイツにおける入国制限及び検疫措置(連邦外務省)
 https://www.auswaertiges-amt.de/de/quarantaene-einreise/2371468
○コロナ入国規則にかかるプレスリリース(連邦保健省)
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/service/gesetze-und-verordnungen/guv-19-lp/coronaeinreisev.html
○コロナ入国規則にかかる政令
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/fileadmin/Dateien/3_Downloads/C/Coronavirus/Verordnungen/CoronaEinreiseV_120521.pdf
○渡航者のための最新情報(連邦保健省)
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus-infos-reisende.html
○ドイツ入国にあたってのワクチン接種者及び感染からの快復者に対する例外(連邦政府)
 https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/coronavirus-einreiseverordnung-1913466