ドイツにおける防疫措置(各種制限措置の再延長等)

2021/1/20
 1月19日,メルケル首相と各州首相による協議が行われ,新型コロナウイルスの変異株がドイツにおいて蔓延することを防ぐための予防措置が必要不可欠であるとして,現行の各種制限措置を2月14日まで延長するとともに,医療マスクの着用義務など更なる措置が発表されました。
 このポイントは以下のとおりです。
 
○各種制限措置の延長現行の各種制限措置を2月14日まで延長する。
 
○私的な集まり(接触制限):引き続き自らの世帯に加え,別世帯に属する最大1人までに制限。他の世帯の数を可能な限り一定かつ少なくする。
 
○マスクの着用義務:公共交通機関や店舗での医療マスク(OPマスク,KN95/N95マスクまたはFFP2マスク)の着用義務を導入する。他人との接触が密となる場合や長時間に及ぶ場合,及び特に閉鎖された空間においては医療マスクの着用を推奨する。
 
○ホームオフィス:公共交通機関における接触を減らすために,企業は可能な限りホームオフィスを可能とする必要がある。このために,連邦労働・社会省は政令を公布する予定であり,この政令は少なくとも3月15日まで有効である。
 
○学校等の閉鎖:学校は引き続き2月14日まで閉校または出席義務を免除。最終学年のクラスに対しては別途の定めが設けられ得る。保育所も同様に閉鎖。緊急託児は確保される。
 
○高齢者・介護施設及び障害者施設における措置:施設職員に対して医療マスク(FFP2マスク)の着用を義務化する。また,少なくとも施設内でワクチン(2回)の接種が完了するまでは,職員や訪問者は迅速検査を受ける義務がある。
 
○保健当局の強化:過去7日間の人口10万人あたりの新規感染者数が50人以下に達し,包括的な接触者追跡が再び可能になるように,連邦各州は保健所のスタッフの能力を強化する。
 
○連邦によるつなぎ支援IIIの改善:受給要件を簡素化するとともに,企業や自営業者への支援金の上限月額を大幅に引き上げる。特に影響を受けた小売業に関しては,販売できなかった季節商品は固定費の算出において考慮される。
 
【連邦と州の決定事項 概要】
○12月16日以降の制限措置には効果があり,新規感染者数は減少していることが明らかになった。安堵と共に,連邦及び各州は,未だに高いレベルにある病院及び集中治療施設への負担がいま,若干の減退傾向にあることに留意する。
○新年の始まりに当たって大きな課題もある。早期のワクチン輸送及び追加的生産設備に関する全ての努力にもかかわらず,今後数ヶ月の間は,ワクチンの量に余裕がなく,そのために国民の集団免疫(の達成)による状況の緩和は見込まれない。
○コロナウイルスの変異種については極めて重大な懸念を抱いている。
○ゆえに本日,メルケル首相及び連邦各州首相は,変異種によりリスクが更に高まることを回避し,独における(新規)感染数の減少を再度明確に速めるために,本協議の開催(時期)を早めた。
○変異種の感染力が明らかに高いことが証明される場合,状況は更に大きく悪化すると考えられる。
 
 以上を踏まえ,メルケル首相と各州首相は,以下を決定した。
 
1 これまでのメルケル首相と連邦各州首相による協議の決定は引き続き有効である。連邦及び各州は,この決定によって追加され,または変更された措置を遅滞なく実施する。この決定に基づく全ての措置は,さしあたり2021年2月14日まで有効である。連邦及び各州は,2月14日以降の措置について審議するため,同日の前に時宜をとらえて審議を行う。
 
2 メルケル首相及び連邦各州首相は,全ての市民に対し,今後3週間も全ての接触を真に必要な最低限度に減らすこと,及び可能な限り自宅にとどまることを強く呼びかける。私的な集まりは引き続き,自らの世帯,及び自らの世帯と他の世帯に属する者1人との場合のみ許される。それに際して,他の世帯の数を可能な限り一定かつ少なく保つことは感染リスクの減少に極めて大きく寄与する。
 
3 マスクの着用は,パンデミックにおいて特に効果的な措置であると証明されている。ゆえに,公共交通機関及び店舗におけるマスク着用義務は,医療マスク(OPマスク,KN95/N95マスクまたはFFP2マスク)の着用義務として明確化される。一般的に,とりわけ閉鎖された空間において,他者との密な,または,長期間の接触が避けられない場合には医療マスクの着用が推奨される。
 
4 連邦及び各州の目標は,乗降数を明白に減少させ,原則として間隔を保つことができるほどに,公共交通機関における接触を減少させることである。この目標は,在宅勤務の機会の広範な利用,通勤及び通学による混雑時における乗降数の調整及び,可能かつ必要な場合には,追加的に投入される交通機関を通じて達成される。
 
5 変異種は既知のウイルス以上に,青少年の間でより強く感染するという,深刻に受け止めるべき指摘がある。ゆえに2020年12月13日の決議の2021年2月14日までの延長及び厳格な実施が必要である。それに従い,原則として学校は閉鎖され,出席義務は停止される。昼間の託児施設(の運営)も同様に扱われる。
 
6 高齢者・介護施設においては特別な防護措置が講じられなければならない。高齢者・介護施設職員には,入居者との接触に当たりFFP2マスクの着用が義務づけられる。少なくとも,同施設において2度のワクチン接種が完了し,施設の人々が免疫を獲得するまでは,施設の訪問者に対する迅速検査が特に重要である。施設には,検査に関する指示の全面的な実施を確保する責任がある。高齢者・介護施設の他に,感染数が増加した障害者施設も,特に保護が必要な場所である。ゆえに,これらの施設でも十分な検査を実施することが重要である。
 
7 教会,シナゴーグ,モスクでの礼拝及び他の宗派コミュニティーによる集会については,以下の条件の下でのみ許される。最低1.5メートルの対人間隔が確保されなければならず,医療マスク着用義務が適用され,合唱は禁止される。11人以上が参加する集会については,権限を有する当局との間で一般的な取決めがなされていない限り,遅くとも2営業日前までに当該当局に届け出られなければならない。
 
8 パンデミックの現状に鑑み,職場における疫学的に有意な接触をさらに減少させることが必要である。それについて連邦労働・社会省が2021年3月15日まで有効な政令を公布する予定であり,雇用者は,可能なところでは全て,従業員がホームオフィスで働くことをその業務が許す限りにおいて可能としなければならない。それによって職場における接触及び通勤中の接触が減少する。メルケル首相及び各州首相は,従業員に対し,ホームオフィスの機会を利用することを求める。出勤しての労働が引き続き必要となる場合には,狭い空間における労働において,空間に人が占める割合が減少させられなければならず,又は,十分な対人間隔がとれない場合は,雇用者から提供される医療マスクを着用しなければならない。典型的な通勤時間帯における近距離公共交通機関内の更なる乗客数の削減のため,企業は,出勤及び退勤の際の乗客数が総じて可能な限りならされるように,可能な場合は常に,柔軟な労働時間を認めることを要請される。
 
9 人口10万人あたりの過去1週間の新規感染者数50未満という目標は,これまで広い地域で達成されていない。数値が高い州や郡においては,州は,感染予防法により,一般的な規則を超える幅広い措置を地域毎に講じる。数値が下がっている地域においてもまた,様々な郡や州で市民が感染予防にそぐわない行動をとることにより,数値が再び上昇することがないよう気をつけなければならない。変異種ウイルスの感染拡大を避けるため,今はまだ高い数値の地域においても2月中旬までには数値が50未満に下げられるよう,地域的な措置を調整しなければならない。その際,措置の均衡性の評価においては,新型コロナウイルス感染拡大の効果的な抑制が変異種のためにかなりの危険にさらされかねないので,包括的な防護措置が必要であることを考慮しなければならない。
 
10 連邦政府及び州政府は,遅くとも2月中旬までに,介護施設の全ての入所者に新型コロナウイルスのワクチンを提供する。ビオンテック社及びファイザー社のワクチンについて,今後2週間から3週間の間,予定より配送される量が少なくなるとの予期せぬ連絡が欧州委員会からあったが,第1四半期に予告された量が,同時期の間に配送されることは約束されている。また,予期せぬ事態が生じずに1月下旬にアストラゼネカ社のワクチンが承認されれば,第1四半期に提供されるワクチンの量は明確に増大する。
 連邦及び州は,ドイツや欧州の医薬品産業による多大な協力を歓迎している。特に重要な課題の一つとして,mRNAの技術は,特殊な専門知識と生産環境を必要とする全く新しい技術であることが挙げられる。この意味において,発表されたキュアバック社とバイエル社の協力は歓迎される。連邦及び関係する州政府の監視当局及び承認当局は必要な手続を加速化する必要がある。
 連邦政府は,接種現場での適切なスケジュール管理を可能にするため,製薬メーカーの報告に基づき,各州に対し正確な納期を伝達する。
 
11 1月18日に公布された新型コロナウィルスの変異株の監視に関する政令に基づき,既知のウイルス及び新たな変異株とその拡大状況を速やかに把握するとともに,必要な措置を導入する。
 
12 感染率の高い状況において,この数か月間,保健局の職員は,濃厚接触者の追跡を完全には行えていない。濃厚接触者の完全な追跡を通じて感染の発生を再びコントロール下に置くことが基本的な戦略である。このために,各州は,人口10万人当たりの過去7日間の新規発生件数が少なくとも50以下の数値の場合には接触の追跡が確実になるよう,保健局の職員の能力を向上させる。連邦政府は,学生がSORMAS(集団感染の監視,管理及び分析システム)を修得し,2月中旬から4月中旬の休暇期間中に濃厚接触者の追跡作業を支援できるよう,州政府を支援する。
 
13 保健局の職員の負担を軽減し,濃厚接触者や感染の連鎖を適切に管理するため,SORMAS(又は同等のシステム)の広域にわたる導入が必要である。各州は,全ての保健局がSORMASの利用するための環境を確保する。連邦政府は,SORMASの利用のために必要な技術的な資源を用意する。SORMASは,2月末までに全ての保健局に設置される。
 
14 連邦によるつなぎ支援IIIは再度改善が図られる。特に影響を受けた小売業に関しては,販売できなかった季節商品は固定費の算出において考慮される。加えて連邦は,つなぎ支援の利用条件を全体として簡素化し,企業及び単独自営業者に対する補助上限月額を明白に引き上げる。多くの企業がパンデミックの継続によって現行の補助金上限に達しているため,連邦政府は,欧州委員会との間で補助金上限額を引き上げるべく,努力する。
 つなぎ支援IIIの分割給付は2月に行われる。手続は,各州による分割給付の最後の支払いが3月に実施されるよう行われる。コロナ・パンデミックの影響緩和のための公的支援プログラムの下での支援金の給付請求権を持ち,当該申請を適時に行った企業の経営者に対する破産申立義務は4月末まで停止される。
 
15 世界保健機関(WHO)は,EU域内は移動の自由があるため,疫学上も一つの地域と見なされるべきと繰り返し述べている。変異種が支配的に広がる可能性がある中,ウイルスの拡大に対抗し,変異種と戦うための共通の戦略が必要不可欠である。このため,ドイツは1月21日に欧州理事会で,更なる入国制限を避けるため,変異種を特定し封じ込め,また,感染全体を減少させるため,欧州諸国において比較可能で,調整された措置をとるべきことを呼びかける。すでに今週,連邦政府は入国に関する政令を公布したが,これは,クリスマス直前に施行された英国と南アフリカに関する入国制限に代わるものであり,現在,変異種が拡大している地域として分類されている国からの旅行者に適用され,また,旅行者に厳格な検査及び隔離義務が定められている。隔離開始後5日目以降に受検したコロナ検査の結果が陰性であれば早期に終了可能な10日間の隔離義務に加え,ドイツはリスク地域からの入国に際して追加の入国時検査義務を導入した(2つの検査戦略)。入国時の検査義務は,到着前48時間以内の検査もしくは,入場直後の検査によって満たされうる。変異株が拡大している地域の場合は,入国前の検査は義務である。連邦政府と各州は,正当な理由なしにリスク地域に旅行することは避けなければならず,検査及び隔離義務に加え,リスク地域からの入国に際してはデジタル入国登録をする義務があることを再度強調する。
 
【参考】
○ドイツ連邦政府プレスリリース 
 https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/bund-laender-beschluss-1841048
○連邦と州の協議にかかる決定事項
 https://www.bundesregierung.de/resource/blob/997532/1840868/1c68fcd2008b53cf12691162bf20626f/2021-01-19-mpk-data.pdf?download=1