ドイツにおける防疫措置(各種制限措置の延長等)

令和3年1月5日
 ドイツ国内の全市郡のうち,約4分の3の市郡(292市郡)において,過去7日間の人口10万人あたりの新規感染者数が100人を超えており,さらに70以上の市郡においてこの値が200人を超えている現状を踏まえ,1月5日,メルケル首相と各州首相による協議が行われ,更なる感染拡大を防ぐとともに,感染経路を追跡し得る水準(過去7日間の人口10万人あたりの新規感染者数を50人以下)まで低下させる必要があるとして,現行の各種制限措置を1月末まで延長するとともに,更なる措置が発表されました。
 
【ポイント】
○各種制限措置の延長2020年12月13日に連邦と州で合意した現行の各種制限措置を1月31日まで延長する。引き続き今後3週間は,他者との接触は真に必要な最低限とし,また,可能な限り自宅で過ごすことを緊急に要請する。
○私的な集まり(接触制限):自らの世帯に加え,別世帯に属する最大1人までに制限
○更なる制限措置:過去7日間の人口10万人あたりの新規感染者数が200人を超えた市郡においては,十分に説得力のある理由が無い限り,移動は居住地から半径15キロメートル以内とするなど,更なる制限措置をとる。日帰り観光旅行は十分に説得力のある理由にはあたらない。
○ワクチン接種:連邦政府は,現場での確実なスケジュール管理を可能とするため,ワクチン製造元の報告に基づき,信頼しうる納期を各州に通知する。遅くとも2月中旬までには,介護施設の入居者全員に対して予防接種を提供できるようにする。2021年の第1四半期には,さらなるワクチンが承認され,より多くのワクチンの配布が見込まれる。
○学校や保育所:学校は引き続き1月末まで閉校または出席義務を免除。保育所も同様に閉鎖。
○児童傷病手当の受給資格:連邦政府は,2021年に児童傷病手当を親1人につき10日分(ひとり親は20日分)追加支給できるよう法律を整備する。
○高齢者・介護施設への支援:連邦政府と州政府は,高齢者・介護施設において迅速検査を広範に実施するためにボランティアを募集する。
 
【連邦と州の決定事項 概要】
科学及び研究分野の総力を結集し,身体への悪影響が無く,また,効果の高い新型コロナウイルスのワクチンを開発することに成功した。連邦と各州は,EUとの共同のワクチン調達及び共に全てのEU加盟国のワクチンを確保するという目標を歓迎する。世界的なパンデミックにおいては,一国による単独行動は,効果的に健康を守ることの妨げになる。
連邦と各州は,おそらく良くない特性を持つ新型コロナウイルスの変異種の感染拡大を,可能な限り広範に抑制することを共通目標とする。
年末年始の休暇の直後には検査や結果の報告に遅れが生じうること,休暇中の訪問や旅行等が感染状況に影響を及ぼすのには時間を要することから,年始に感染状況を正確に把握することは極めて難しいが,独全土において感染者数は依然として非常に高いレベルにあることは確実である。
独国内の全市郡のうち,約4分の3の市郡(292市郡)において,過去7日間の人口10万人あたりの新規感染者数が100人を超えており,さらに70以上の市郡においてこの値が200人を超えている。感染者数が特に増加している地域においては,ホットスポット戦略に従って更なる制限的な措置が講じられる。
連邦と州の目標は,引き続き,保健所が感染経路を追跡し,濃厚接触者の隔離を指示できるようになるよう,人口10万人あたりの過去1週間の新規感染者数を50人以下に下げることである。
 
 以上を踏まえ,メルケル首相と各州首相は,以下を決定した。
 
1 これまでのメルケル首相と連邦各州首相による協議の決定は引き続き有効である。各州は,2021年1月10日まで有効な全ての措置を適切な州政令によって2021年1月31日まで延長する。メルケル首相と連邦各州首相は全ての市民に対し,今後3週間は全ての接触を真に必要な最低限度に減らすこと及び可能な限り自宅にとどまることを強く呼びかける。
 
2 これまでの決定を更に強化し,私的な集まりは,自らの世帯,及び自らの世帯と他の世帯に属する者1人との場合のみ許される。
 
3 労働環境に照らして可能な場合は常に,社内食堂は閉鎖される。持ち帰り用の飲食物の受け渡しのみが許される。その場での飲食は禁止される。
 
4 雇用者は,独全土において「ステイ・ホーム」の原則を実行できるように,在宅勤務の機会を提供するよう強く要請される。
 
5 人口10万人あたりの過去1週間の新規感染者数が200人を超える市郡においては,各州は,十分に説得力のある理由がない限り,感染予防法により,個人の行動範囲を居住地から半径15キロメートル以内に制限するための,地域的な(lokale)措置を講じる。日帰り旅行は十分に説得力のある理由ではない。
 
6 高齢者・介護施設においては特別な防護措置が講じられなければならない。少なくとも,施設において2度のワクチン接種が完了し,施設の人々が十分な免疫を獲得するまでは,施設の訪問者に対する迅速検査が特に重要である。施設には,検査に関する政令の全面的な実施を確保する責任がある。連邦と各州は,検査の実施を支援するため,施設における広範な迅速検査の実施のために一時的なボランティアを募る共同のイニシアティブを開始する。
 
7 ロベルト・コッホ研究所は,例えば感染のリスクの増加やさまざまな年齢層での重症化に関して,ウイルスの特性が変化した新しい変異種に関する報告を綿密に調査する。
 連邦と各州の共通目標は,パンデミックを悪化させる可能性のある特性を持つ変異種の海外からの侵入を可能な限り抑制するとともに,シーケンス(注:ゲノム塩基配列解析の手法)の強化を通じて独においてもそのような変異種を発見し,優先的な追跡と隔離を通じてそれらの拡大を可能な限り抑制することである。
 連邦保健省は,第3次住民保護法に基づいて,シーケンスの強化に関する政令を公布する。そのような変異種が発生している地域からの避けることのできない入国に際しては,連邦警察は,特別な入国規則の遵守のチェックを強化する。各州は,そのようなウイルス変異種の独における感染事例の追跡と,その場合の隔離に対する管理を特に優先的に強化することを確保する。
 
8 これまでのメルケル首相と連邦各州首相による協議の決定では,ワクチンの接種は2021年に開始されると想定されていた。ビオンテック社及びファイザー社によるワクチンの早期承認と各州の施設の整備により,2020年12月27日に全ての州でワクチン接種を開始することが可能となった。年末までに130万回分のワクチンが各州に配布され,2021年2月1日までに約270万回分のワクチンが更に配布される。連邦は,現場における(接種の)予約の管理を確かなものにするため,製造元の報告に基づいた信頼できる配布の日時を各州に伝達する。
 遅くとも2月中旬までに,介護施設の全ての入所者へのワクチン接種が可能となる。これは,とりわけこれらの施設で発症数が多く,重症化が起きるため,ワクチン接種キャンペーンの重要な最初の中間目標である。
 当初限られている独における生産能力の増強という目的のために,連邦とヘッセン州は,マールブルクに新しく設立される工場が承認され,2月に製造が開始できるよう,ビオンテック社を最大限支援する。連邦はまた,ワクチンの更なる生産能力を可能な限り迅速に構築する方法について,製造元と話し合う。
 2021年の第1四半期には,更なるワクチンの承認が得られ,その結果,更なるワクチンの配布が見込まれる。
 
9 学校及び保育所については,2020年12月13日の合意のとおり,各州による措置(閉校等)は1月末まで延長されなければならない。
 
10 連邦は,2021年の児童傷病手当を親1人につき10日分(ひとり親は20日分)追加で支給する法律を整備する。この手当は,学校または保育所,もしくは,(児童等が属する)学級またはグループがパンデミックの影響で閉鎖される場合,対面授業の出席義務が停止される場合,及び託児サービスの利用が制限される場合にも適用される。
 
11 制限措置に伴い,全ての産業分野において連邦及び各州による包括的な財政支援が行われる。11月支援の枠組みにおいて,これまで10億ユーロ以上が連邦から,影響を受けた企業へ支給された。申請された11月支援は,各州によって遅くとも2021年1月10日以降に全て支給される。12月支援への申請は2020年12月中旬から可能となっており,最初の支給は1月初旬に行われる。今後は,特に連邦によるつなぎ支援IIIが重要になる。つなぎ支援IIIでは,売上の落ち込みと影響の大きさに応じ,固定費の一定の割合が一月あたり最大50万ユーロ補償される。2021年6月が期限のつなぎ支援IIIによる最初の支給は,各州により2021年第1四半期に行われる予定である。
 
12 リスク地域から独への入国に関し,これまでの10日間の隔離義務に加え,独入国に際しての検査義務が導入される。その際の検査は,入国の前48時間以内,または,入国直後に行われなければならない。各州は,それぞれの政令に基づき2021年1月11日からこの検査義務を実施する。連邦は,2020年8月から存在する検査義務に加え,第3次住民保護法に基づき,変異種の感染拡大,または,特に感染者数が多いことにより,特に感染リスクが高い地域からの独入国の際の検査義務に関する特別の規則を公布する。連邦と各州は再度,十分に説得力のある理由なくリスク地域に旅行することは絶対に避けなければならないこと,及び,検査義務や隔離義務に加えて,リスク地域からの独入国の際にはデジタル登録の義務があることを指摘する。
 
13 メルケル首相及び連邦各州首相は,今後の感染状況を踏まえ,2021年1月25日に再度協議を行い,2021年2月1日からの措置について決定する。
 
 
【参考】
○ドイツ連邦政府プレスリリース
 https://www.bundesregierung.de/breg-de/aktuelles/bund-laender-beschluss-1834282
○連邦と州の協議にかかる決定事項
 https://www.bundesregierung.de/resource/blob/997532/1834306/75346aa9bba1050fec8025b18a4bb1a3/2021-01-05-beschluss-mpk-data.pdf?download=1
 
■在ドイツ日本国大使館ホームページ(新型コロナウイルスに関する最新情報)
 https://www.de.emb-japan.go.jp/itpr_ja/konsular_coronavirus200313-1.html
■外務省海外安全ホームページ(ドイツ)
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcinfectionspothazardinfo_165.html#ad-image-0
■ドイツ連邦保健省(新型コロナウイルスに係る最新情報)
 https://www.bundesgesundheitsministerium.de/coronavirus.html
■ロベルト・コッホ研究所(新型コロナウイルスに関するQ&A)
 https://www.rki.de/SharedDocs/FAQ/NCOV2019/FAQ_Liste.html
 https://twitter.com/rki_de
■ドイツ連邦外務省(渡航情報)(最新情報)
 https://www.auswaertiges-amt.de/de/ReiseUndSicherheit/reise-und-sicherheitshinweise/letzteaktualisierungen
■厚生労働省
○新型コロナウイルスに関するQ&A
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00001.html
○水際対策の抜本的強化に関するQ&A
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou_00001.html
○感染症情報
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html
○咳エチケット
 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000187997.html
■世界保健機関(WHO)
 https://www.who.int/health-topics/coronavirus
 https://twitter.com/who
■在留届(3か月以上滞在される方)/ 「たびレジ」(3か月未満の渡航の方)
 https://www.ezairyu.mofa.go.jp/index.html
■スマートフォン用 海外安全アプリ
 https://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/oshirase_kaian_app.html