大使館案内
令和5年1月6日
ようこそ、ホームページへ!
令和5年を迎えるに当たり、皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げます。
昨年、ドイツとの関係での日本と言えば、11月23日のサッカー・ワールドカップで日本が初めて4度の優勝経験を持つドイツと対戦し、勝利できたことは歴史的な出来事でした。また、コロナの規制が緩和された結果、ようやく多くの行事が3年ぶりに対面で行われました。7月末までのことは一度ご報告をしておりますので、ここではそれ以降の話を中心にしつつ、新年の展望について述べさせて頂きます。
1.ドイツのG7議長国
ドイツのG7議長国下での会議は昨年後半も続き、9月第三週には、ベルリンとその近郊で都市開発大臣会合、貿易大臣会合、下院議長会議が続いて開催され、それぞれ斉藤国土交通大臣、西村経産大臣及び山田外務副大臣、細田衆議院議長がご出席されました。10月半ばのベルリンでのジェンダー平等大臣会合には小倉内閣府特命担当大臣、11月初旬のミュンスターにおける外相会合には林外務大臣がお見えになりました。G7外相会合は、ロシアのウクライナ侵攻への対応を協議する必要もあって、今年は、ドイツでの3回を含め対面で5回、オンラインも含めれば12回という前例のない頻度で行われました。更に、11月半ばのヘッセン州での内相会合には緒方警察庁次長、11月末の司法大臣会合には門山法務副大臣が出席されました。いずれの会合でもG7の声明が出された他、日独二国間の会談も行われ、来年の日本議長国に引き継がれることが期待されています。
2.活発な要人往来
2月24日のロシアによる戦争が始まって以降、日本は対露制裁に参加しているほか、ウクライナ支援も積極的に行っており、ドイツは日本を民主主義、人権、法の支配等の価値を共有するパートナーとして強く再認識してくれたようで、昨年の後半も要人の訪日が続きました。9月27日の国葬にはヴルフ元大統領が出席され、11月初めにはシュタインマイヤー大統領が、2019年の即位の礼以来、大統領として三度目の訪日を果たし、岸田総理と会談したほか、天皇・皇后両陛下とご会見されました。
10月には連邦議会のデジタル委員会、人権・人道支援委員会が相次いで訪日し、11月にはミュッツェニヒ社民党院内総務が訪日されたほか、3年ぶりに東京で、対面で開かれた日独フォーラムにはミュラー独日友好議連会長(社民党)、最大野党のヴァーデフールCDU/CSU(キリスト教民主/社会同盟)副院内総務などの連邦議会議員も参加しました。
また、11月3日にはハイブリッド形式で日独外務防衛閣僚会合(「2+2」)が開催されたほか、9月末には独空軍のユーロファイターが、豪州における多国間共同訓練の帰途、空軍総監自身の操縦により、史上初めて日本に立ち寄り共同訓練が行われるなど、日独間の安保・防衛面での協力も進展しました。
3.コロナの感染防止策が緩和されたことを受けての行事
今年の秋はコロナの規制も緩和された中、自衛隊記念日レセプション、叙勲、外務大臣表彰等、多くの行事が開催されました。ケンプフ前ドイツ産業連盟(BDI)会長、ヴェルナー元独航空宇宙センター(DLR)理事長、前欧州宇宙機関(ESA)事務局長、ヴォンデ前森鴎外記念館副館長に対しては勲章を授与させて頂き、シュペネマンDeJaK-友の会会長、ベルリン独日協会には外務大臣表彰を行いました。
4.内政関連
昨年10月にはニーダーザクセン州議会選挙が行われ、ヴァイル州首相が社民党の第一党を守り、連立相手をCDUから緑の党に乗り換えることになりました。
州政府との関係では、私は5月の州議会選挙に勝利して連立相手を緑の党に替えたノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州のヴュスト州首相に9月7日にベルリンのNRW代表部でお目にかかり、また、9月21日にはザールブリュッケンを訪問し、レーリンガー・ザールランド州首相を表敬し、12月2日にはブレーメンに出張し、ボーフェンシュルテ・ブレーメン州首相にお目にかかることができました。
また、法曹関係者に表敬すべく、12月8日にカールスルーエに出張し、リンペルク連邦通常裁判所長官、フランク連邦検察庁長官を表敬しました。他方、ハルバルト連邦憲法裁判所長官はこの日は都合が悪いとのことで、11月30日にベルリンでお目にかかりました。
5.経済面
コロナの規制が緩和されたことを受け、9月2日から9月6日にかけて家電製品の見本市IFAが、また、20日から23日にかけては鉄道関連の見本市InnoTransがベルリンで開催され、私も日本企業が出展されているブースを視察させて頂きました。また、9月12日にはマグデブルク近郊において堀場製作所によるホリバ・eハブの落成式に出席し、10月5日にはベルリンで、フォトニクス・デイズ・ベルリン・ブランデンブルク2022(フォトニクス分野の企業交流イベント)を訪問し、日本から出展したJETRO浜松ブースを視察しました。また、12月5日には日独の貿易・投資振興機構(JETRO及びGTAI)が昨年共同で立ち上げた「日独イノベーション・イニシアチブ160」の一周年のイベントに、GTAIのヘルマン総裁、ジェトロの信谷副理事長と共に出席し挨拶を行いました。
6.文化・スポーツ
この秋にはライプツィヒ大学のオーバーグフェル学長、フンボルト大学のフォン・ブルメンタール新学長を表敬した他、出張の機会を捉えて、ザールランド大学のケーニッヒ副学長、フライブルク音楽大学のホルトマイヤー学長を表敬しました。
また、デュッセルドルフで9月下旬に行われたサッカーW杯日本代表チームの親善試合二試合のうち、エクアドル戦を観戦しました。日本サッカー協会がデュッセルドルフを欧州の拠点に選んで頂いたことに深く感謝します。W杯のドイツ戦、スペイン戦、クロアチア戦の際には、当地の邦人、外交団等も何人か公邸にお招きして一緒に観戦しました。ドイツ戦、スペイン戦は後半に逆転して勝利するという日本にとり素晴らしい展開で、特に日本・スペイン戦はドイツ・コスタリカ戦と並行して行われ、コスタリカの頑張りもあって、グループ・リーグ内の順位が、試合中の得点によりめまぐるしく変わり、最後までどのチームが決勝トーナメントに残ることが出来るかわからないという、W杯でも珍しい手に汗握る展開となりました。
文化関係では9月半ばに高松宮殿下記念世界文化賞受賞者発表式がベルリンで行われ、大使公邸で実施されました。同じ頃、フンボルト・フォーラム内のベルリン国立アジア美術館の茶室「忘機庵」の建築・監修チームである、裏千家の奈良宗久氏と建築家の浦淳氏、陶芸家の中村卓夫氏、金属造形作家の坂井直樹氏が、同フォーラム全館開館記念レセプションのため当地を訪問された機会に、当館多目的ホールで「茶の湯がつなぐ日本の文化」という茶道、建築、工芸に関する講演会と呈茶が実施されました。
7.2023年の展望
今年は日本がG7議長国となり15の首脳・閣僚会合が開催されるため、日独間でもハイレベルの活発な交流が行われることが期待されます。ロシアのウクライナにおける戦争は今も続いており、この問題と、この戦争のために引き起こされるエネルギー供給や価格の上昇、そしてこれらを背景としたインフレの問題に引き続き直面することになりますが、正にそれらの問題の対応・解決に向けてG7の会合で議論されていくことになると思われます。また、G20の議長国インドとも緊密に連携して行くことが期待されます。
また、コロナ感染防止規制の緩和・撤廃に伴い、見本市等の経済関係行事や、文化行事もコロナ前のように自由に行われるようになると思われます。特に、一昨年の日独160周年の際には、準備した行事を行うことがコロナのために殆ど出来なかっただけに、今年以降に期待したいと思います。また、カタールのW杯でドイツを破った日本代表のうち8名はブンデスリーガでプレーしているので、ブンデスリーガにおける今後の彼らの活躍も楽しみです。また、女子のサッカー・ワールドカップが7月から8月にかけて豪州とニュージーランドで開催される予定で、なでしこジャパンの活躍に期待しましょう。
新しい年においても、日独関係を更に発展させ、また、在留邦人の皆様のお役に立てるよう努力していきたいと考えております。本年もよろしくお願い申し上げます。
令和 5年(2023年)1月
在ドイツ日本国大使館
特命全権大使 柳 秀直
在ドイツ日本国大使館
特命全権大使 柳 秀直
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