大使館案内

令和6年1月12日

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柳秀直大使


 令和6年を迎えるに当たり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。まず、今月1日に石川県能登半島における地震によりお亡くなりになられた方々に謹んでお悔み申し上げるとともに、被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。被災地の一日も早い復興を心からお祈りしております。シュタインマイヤー大統領、ショルツ首相をはじめ、ドイツ政府からもお見舞いのメッセージを頂いたことに、この場を借りて感謝申し上げます。

 ここでは9月初め以降の話を中心に昨年を振り返りつつ、今年の展望について述べさせて頂きます。

1.日本のG7議長国
 ドイツのG7議長国を引き継いだ日本の議長国は、広島首脳会合以降も年末まで継続し、10月後半には大阪・堺貿易大臣会合、11月上旬には東京における外相会合、12月初めの水戸における内相会合が行われ、特に、外相会合等では10月7日のハマス等によるイスラエルへの攻撃以降のガザ情勢等が大きなテーマとなりました。また、12月6日にはオンラインで岸田総理が議長としてG7首脳会合を開催し、ウクライナのゼレンスキー大統領も一部参加し、G7としてウクライナ支援を継続していくことを確認しました。

2.活発な要人往来の継続
 日本からは8月に衆議院の財務金融委員会、9月に参議院の資源エネルギー・持続可能社会に関する調査委員会、そして日独友好議員連盟が訪独しました。同議連の遠藤利明会長一行はシュミット首相府長官、リントナー財務大臣等にも表敬し、私も同行させて頂きました。
 州・地方レベルでは、6月のヴュスト・ノルトライン=ヴェストファーレン州首相に続き、9月末にレーリンガー・ザールランド州首相、10月末にドライヤー・ラインラント=プファルツ州首相が訪日されました。ドライヤー州首相は同州と交流協定を結んでいる岩手県などを訪問され、私は訪日直前にベルリンでご説明させて頂きました。
 11月には5年ぶりにベルリンで日独フォーラムが対面で開催され、「経済安全保障をともに形成する」というテーマで議論が行われました。一行はシュミット首相府長官を訪問し、また、初めて一部のセッションを公開する形で行われました。

3.内政関連等
(1) 州議会選挙
 10月にはバイエルン州とヘッセン州という独の4分の1近くの人口を有する二州で選挙が行われ、いずれも連邦では野党となる、CSU、CDUの現職の州首相が勝利し、連立与党にとっては厳しい結果となりました。
(2) 憲法裁判所の違憲判決と連邦予算の見直し
 昨年11月15日、憲法裁判所が2021年第二次補正予算でコロナ対策のために計上したものの不用となった600億ユーロ(約9兆円余)を2023年以降の国内の気候変動対策などに使用することについて違憲判決を下したことで、政府は、同判決の趣旨に照らして無効と判断し得る他の積立て予算2千億ユーロ超、計2,600億ユーロ超(約40兆円余)について見直しを迫られました。ドイツは基本法の下で新規債務の上限をGDP比0.35%以内と厳しく定めているため、2023年で不足した財源を補正予算で間に合わせるべく、政府・議会は2023年も2022年までの3年間と同様、緊急事態と遡及的に認定して新規債務を例外的に認めることで財政危機を乗り超えました。2024年本予算については1月10日時点で成立しておらず、調整が続いています。

4.対外発信
 ドイツ国内でのインド太平洋への関心の高まりを受け、11月にはCDU・CSUが主催した「インド太平洋における戦略的パートナーシップ会議」に招かれ、「インド太平洋における貿易及び協力」というセッションのパネリストの一人として登壇しました。また、11月末に「欧州とNATO-決意とレジリエンスの強化」をテーマに開催されたベルリン安保会議にも招かれ、「インド太平洋の挑戦」というセッションにパネリストとして登壇させて頂きました。私からは、東アジアの安全保障や日本の経済安全保障の取組等についてお話ししました。

5.経済面
 9月末にはライプツィヒ近郊にエストニアのSkelton Technologies社が、丸紅の出資を得て、高出力・拘束充放電が可能な蓄電デバイスを製造する新工場を設立するということで、署名式に出席させて頂きました。
 10月には十倉経団連会長の一行が訪独され、シュミット首相府長官、ハーベック副首相兼経済気候保護相、ヴィッシング・デジタル交通相等への表敬に同行しました。
 12月には、独通信会社の1&1が5Gネットワークでのモバイルサービスを開始するに当たり、日本の楽天のOpen RAN技術が採用されたことを受け、1&1社によるオープニングセレモニーに楽天の三木谷会長が出席され、岸田総理からビデオメッセージが出されました。

6.学術交流・文化・スポーツ
 9月にはゲッティンゲン大学で、東北、京都、大阪の日本側三大学とゲッティンゲン、ハイデルベルク、カールスルーエ工科大学の日独六大学アライアンス(HeKKSaGOn:ヘキサゴン)の第9回学長会議が行われ、私も冒頭の式典に出席して挨拶を述べました。同枠組みは2010年に発足し、以来、学長会議の他、参加大学間の共同研究や学生交流が行われています。

7.邦人関係
 11月にはベルリン日本人国際学校の30周年を記念する学校祭を参観させて頂きました。4月にヴァンゼーからランクヴィッツの校舎に移転して最初の学校祭でしたが、多目的ホールで生徒の皆さんの元気な姿を見せて頂きました。

8.2024年の展望
 一昨年からのロシアのウクライナ侵攻に加えて、昨年10月からはハマス等のイスラエル攻撃とそれを受けてのガザにおけるイスラエルとハマスの戦闘が継続しており、国際情勢は引き続き見通しの難しい状況が続いています。また、ドイツ国内では連邦予算の成立が遅れている中、農民のデモや鉄道のストが行われており、やや不安定な年の始めとなっていますが、独国内については、今後、徐々に落ち着いてくるものと確信しております。
 今年は6月に欧州議会選挙が行われ、また、9月には旧東独三州で州議会選挙が予定されています。また、夏にはパリでオリンピック・パラリンピックが開催される予定で、日本選手団の活躍も期待されます。
 新しい年においても、皆様のご支援を得ながら、日独関係を更に発展させていくべく努力していきたいと考えております。また、在留邦人の皆様がドイツにおいて安心して生活を送れるよう、在ドイツの四つの総領事館と共に尽力して参ります。本年もよろしくお願い申し上げます。
 
  令和 6年(2024年)1月    
   在ドイツ日本国大使館     
特命全権大使  柳  秀直  



 

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